有休取得の義務化、企業の課題は「人手不足」 しかし実際の対応は……:業務過多を指摘する声も
人材会社エン・ジャパンは有給休暇の取得義務化の実態調査を発表した。7割以上の企業が「良いと思う」と回答したが、人手不足や業務過多といった問題もあるようだ。企業はどんな対応をするつもりなのか。
労働基準法の改正により、4月から全ての企業において年間10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、年間5日以上の有休取得が義務化された。職場への配慮などで有休を取得しにくくなっている労働者の現状を変えるための取り組みだが、企業側は義務化についてどう思っているのだろうか。
人材会社エン・ジャパンが有休取得の義務化の是非について聞いたところ、73%の企業が「良いと思う」と回答した。回答企業からは、「有休取得は働く側の当然の権利だと思うので、取得しやすい状況になるのは良いことだと思う」「法律が施行されなければ休みがとれないような企業にとっては、組織体系や業務量の見直しにつながる良いタイミング」などの意見が出た。
一方、「良いと思わない」と答えた企業からは「業務内容などが改善されないまま義務化されたところで、サービス残業などが増えるだけ」「病気の時などに使える有休が減ってしまう」といった声も挙がっている。
また、義務化にあたっての課題を挙げてもらったところ、最も多いのは「人手不足」(65%)、次いで「業務量が人に偏っている」(60%)だった。3位も「常に仕事量が多い」(36%)と、業務をこなす人材をどう確保するかに頭を悩ませる企業が多いようだ。
他にも「職場に有休を取得しづらい雰囲気がある」(27%)といった現状を懸念する企業や、「管理職のマネジメント不足」(30%)や「突発的な業務発生などにより、休暇を取得しにくい」(29%)といった問題を指摘する企業も3割近くいた。
具体的にどう対応するかについては、「有給休暇の計画的取得」が83%でトップ。次いで「有給休暇取得のための周知・啓発」(81%)、「取得の低い社員に対し、個別に休暇取得を促す」(52%)と、社員に有給休暇を取得するよう呼び掛ける企業が多い。
一方、課題となっている人手不足の解決に取り組む企業は少なく、「代替要員の確保」(8%)や「人員配置による一人当たりの業務量削減」(5%)、「外部委託、協力先の活用」(4%)を挙げた企業はいずれも1割以下だった。
調査は2月27日から3月36日に、同社のサービス「人事のミカタ」を利用する企業610社を対象にインターネット上で実施した。
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