アマゾン傘下のクラウドベンダーが、開発者向けコワーキングスペースを運営する理由:狙いはどこに?(2/3 ページ)
共創ビジネスやビジネスコミュニティーを生み出すため、コワーキングスペースを設ける企業が増えてきた。コワーキングスペースの運営は、企業にどんなメリットをもたらしているのか。
AWS Loft Tokyoに行ってみた
実際にロフトを訪れてみると、平日夕方でも8割ほどの席が埋まっていた。カウンター席で黙々とコードを書いている人もいれば、テーブル席に集まって議論しているグループもいる。作業に没頭している人が多いからか、人数の割に静かだ。
畑さんは「利用者を開発関係者に絞ったことで、結果的に静かで作業しやすい環境になった。エンジニアは社内にいると何かと呼び出されて忙しいので、自分の業務に集中しようとロフトに来る人もいる」と話す。中にはオープンと同時に来て、ロフトが閉まる午後6時ぎりぎりまで利用する人もいるそうだ。
そんな中、「Ask an Expert」と書かれた看板付近には、頭を付き合わせて話し合っている人の姿が見えた。Ask an Expertは、AWSジャパンの技術者が常駐し、利用者からの質問を予約不要で受け付ける相談エリア。日によっては利用者が列を作って並ぶこともあるという。
畑さんは「1人で何日も悩んでいたことが、人に相談すると数分で解決することもある。その場で課題を解決し、またコーディングに集中できるようになることで、ビジネスのスピードが上がる」と話す。
質問はAWSのサービスに関することから、勉強方法、利用者が開発中のサービスへのアドバイスまでさまざま。時には、当日担当している技術者の専門外の分野について高度な質問が寄せられることもあるという。
「そんなときは、より詳しい技術者に社内チャットで尋ねたり、相談ブースに来てもらったりして対応している。オフィスと同じビルにあるコワーキングスペースならではの価値を提供できているのではないか」(畑さん)
こうした相談対応の積み重ねには、予想外の好影響もあった。自社の技術者たちのやる気や技術力が向上してきたのだ。
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