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「なぜか他人を怒らせてしまう人」のための自己防衛術:Books&Apps(3/3 ページ)
無意識に人に不愉快な思いをさせたり、怒らせたりしてしまったり……。そんな経験のある人は少なくないはず。人を怒らせることなく、円滑なコミュニケーションを図るための4つのワザとは?
自己防衛術3: 人は皆、「思い通りにならないのは自分の責任ではない」と思っているので、「あなたのせいではない」と慰める
経験的に、「あなたの責任です」と言われて、喜ぶ人は皆無である。人は皆、「責任」という言葉に過剰反応する生き物なのだ。面白いことに、実際の責任者ですら「あなたの責任だ」と言われると怒る。
例えば、ある会社の社長は、長らく業績の低迷に苦しんでいたが、その責任は全て「社長以外」にあると、繰り返し言っていた。
- 役員の無能のせい。
- 取引先の悪意のせい。
- 社員の忠誠心のなさのせい。
- 日本の少子化のせい。
- 役所の融通の利かなさのせい。
- 東京の一極集中のせい。
真の理由は調べなければ分からないし、社長が真実を語っているかどうかも分からない。でも彼は、おそらく真実を望んでいなかった。
私は望み通り、彼に「そうですね、社長は悪くないです」と繰り返し慰めた。
人が望んでいないことを押し付けるのは、単なるおせっかいだ。
だから、いつまでも昇進できない社員、リストラされそうな中高年、できない若手に対しても「あなたのせいではないです」と言うことで、怒りを回避できる。
考えてみれば、キリストもブッダも、「あなたのせいではないです」と言っていた。人は、厳しい現実に向き合うよりも、心地よいことを言ってくれる人になびくのである。
たとえ、それが真実ではなくとも。
安達裕哉プロフィール
1975年東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。大企業、中小企業あわせて1000社以上に訪問し、8000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をする。仕事、マネジメントに関するメディア「Books&Apps」を運営する一方で、企業の現場でコンサルティング活動を行う。Twitterアカウントはこちら。
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