「どさん子ラーメン」は今…… 急成長から衰退までの経緯と復活のシナリオに迫る:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
札幌みそラーメンの“伝道師”として急成長した「どさん子ラーメン」。かつては1000店以上を展開していたが、マネされるのも早かった。“衰退”したと思われている一方で、復活に向けた動きもある。
復活に向けた動き
ホッコクは90年に株式を店頭市場に公開(現在のジャスダック上場)。収入源の多角化を目指し、ベーカリーカフェなどの新規事業を行うが軌道に乗らず、最終的には2期連続の赤字を計上した上、架空の売り上げを報告した有価証券虚偽記載が判明するなど、経営が混乱。12年に上場を廃止した。
同年、会社分割により新たに「どさん子」という会社が設立されて、事業が移管された。16年にはアスラポート・ダイニング(現・JFLAホールディングス)の傘下に入り、17年に「とり鉄」他2社と合併してアスラポートに商号を変更。JFLAホールディングスの子会社アスラポートで、外食FC事業の1部門として存続している。
一方で、どさん子ラーメンは14年に博多一風堂を展開する力の源カンパニーのコンサルティングにより、東京・八重洲地下街にリブランディングされたニューコンセプトの店を出店。どさん子ラーメンの顧客層は高齢化していたため、ラーメンの主要顧客である10代〜30代を狙っている。デザインもスタイリッシュにすっきりとしている。
赤みそを使った濃厚で男性的な「赤練」、白みそを使ったまろやかで女性的な「白練」、100%北海道産生みそを使った「金練」、元来の味「つたや中華 味噌(元祖)」と、4種類のみそラーメンを今はメインで売っている。
ニューコンセプト店は12店。昼はどさん子ラーメンで、夜はとり鉄として営業する焼鳥居酒屋とのコラボ店も2店となり、徐々にリブランディングの成果が表れつつある。
赤練などの商品は、力の源が考案しただけあって創作ラーメンとして洗練されているので、あとは新しくなったどさん子ラーメンをどれだけ大衆的に認知してもらえるか。そして持続可能な店舗経営のために、FCオーナーを長時間労働からどうすれば救い出せるのか。頭の使いどころだ。
【お詫びと訂正:2019年5月29日午後5時30分 初出で、「どさん娘とどさん子大将は既にFC本部がなくなってしまい」と記載いたしましたが、あらためて調査した結果、事実関係が確認できなかったので、該当部分を削除いたしました。お詫びして訂正いたします。】
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