米国で“肉のようで肉でないモノ”が売れている、2つの理由:肉の概念を変えた(3/5 ページ)
米国でミートレス食品を製造するインポシブル・フーズが、話題になっている。いわゆる肉の代替え食品を扱っているわけだが、なぜフーズ社の売り上げが伸びているのか。2つの理由があって……。
非常に巧みで効果的な販路開拓
味のカギを握るのは、大豆の根を加工して作られるヘム(生体内に存在する鉄)だ。血がしたたる肉汁はもちろんのこと、生肉のように赤身を焼くと茶色に変わる状態までそっくり再現している。
フーズ社のパテは、圧縮調理された小麦をベースに、牛肉の食感を出すためのポテトプロテイン、イーストで発酵させたヘム、さつまいもやココナッツオイルなどを混ぜ合わせて作られる。
このように製造されたパテを調理する際には、本物の肉を焼くような香りまで漂うという。かなり、細部までこだわっているのだ。
また、19年2月には改良が行われ、パテに使用していた小麦を大豆プロテインに変更し、グルテンフリー対応になった。味わいが、よりジューシーで、肉らしさもグレードアップされているようだ。しかもグルテンフリーは健康意識の高い人にもササる。
そしてもうひとつの特徴は、フーズ社の成功の影に、非常に巧みで効果的な販路開拓があったことだ。同社は、インポシブル・バーガーの開発段階から有名シェフに協力してもらい、レストランで商品を提供することで知名度を上げることに成功した。
その有名シェフは、ニューヨークで人気のラーメン店「Momofuku Noodle Bar」やスイーツ店の「Momofuku Milk Bar」など、さまざまな店舗を展開する「Momofuku」グループの創業者、David Chang(ディビッド・チャン)だ。
ディビッド・チャン氏の協力を得て、最初のインポシブル・バーガーが提供されたのが、ニューヨークのチェルシー地区にある彼のレストランだった。16年に「Momofuku Nishi」でインポシブル・バーガーが提供されると、ぐんぐん認知度が上がり、別のレストランでもメニューに加わるようになった。
そして販路が徐々に増え、日本にも上陸した人気ハンバーガーチェーン店の「Umami Burger(ウマミ・バーガー)」でも提供されるようになった。
関連記事
- なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - えっ、炊飯器じゃないの? 三菱電機の高級トースターが面白い
三菱電機が高級トースターを投入する。この市場を見ると、バルミューダ、アラジン、シャープなどたくさんの商品が並んでいるが、三菱のトースターはどのような特徴があるのか? パッと見たところ、小さな炊飯器のように……。 - 復活できるのか? 再上場で注目される、ジーンズの「リーバイス」
リーバイスを展開するリーバイ・ストラウス社は、創業166年になる老舗ブランド。そんな歴史的な企業が、最近また注目されている。その理由は、2019年3月に同社がニューヨーク証券取引所に再上場したからだ。 - 「現金お断りの店」は、その後どうなったのか? ロイヤルHDの実験
1年ほど前、東京の日本橋に「現金お断り」のレストランが登場した。ロイヤルホストを運営するロイヤルHDが運営しているわけだが、キャッシュレスにしてどんなことが分かってきたのか。メリットとデメリットを聞いたところ……。 - 世界的にキャッシュレス化が進んでいるのに、なぜ米国は反発するのか
世界的にキャッシュレス化の動きが加速している。こうした動きの中で、反発する国がある。米国だ。ペンシルベニア州ではキャッシュレス型店舗を規制する法律が可決され、この動きは広がりつつ……。 - ストロー廃止はもう古い 昔ながらの「牛乳配達」モデルが注目されている
プラスチック製ストローを廃止しようという動きが話題になった。世界中でストロー廃止の動きが注目されているが、いま米国発の新たなプラスチックゴミ対策が話題になっている。どんな対策かというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.