米国で“肉のようで肉でないモノ”が売れている、2つの理由:肉の概念を変えた(4/5 ページ)
米国でミートレス食品を製造するインポシブル・フーズが、話題になっている。いわゆる肉の代替え食品を扱っているわけだが、なぜフーズ社の売り上げが伸びているのか。2つの理由があって……。
成功の裏に何があったのか
インポシブル・バーガーは、実はビーフを使ったハンバーガーより値段が高い。にもかかわらず、同チェーン店の売り上げの3分の1を占めるほど人気メニューになっている。
また、肉好きで肉料理を得意とする有名シェフのMichael Symon(マイケル・サイモン)が展開するハンバーガーチェーン店「B Spot」でも提供されるようになり、本格的なミートレスバーガーとしてさらに知名度が上がった。
こうして、インポシブル・バーガーはわずか3年ほどで、全米各地のレストランで提供されるまでに拡大し、さらには国外にも広がっている。ハンバーガーのほかにも、メキシコ料理のタコス、中華料理の餃子などにも使われ、アレンジも無限に広がっている。
フーズ社が、最初にレストランから販路を開拓したことにより、また別のメリットもあった。それは、プロフェッショナルが調理するため、商品をおいしく最高な状態で消費者に提供できたことだ。
肉料理が好きな消費者にとって、ミートレス食品を試すのは少しハードルが高い。従来のベジバーガーのように味がイマイチかもしれないし、本当に本物のビーフのような味わいが再現されているのか、さまざまな疑問がわくからだ。
だがフーズ社がそういった懸念を払拭(ふっしょく)して、新たな顧客まで獲得することができたのには、レストランで提供したことが大いに貢献している。また、今までにないミートレス食品を取り扱うことで、シェフを驚かせ、好奇心をくすぐったことも成功の裏にはあった。
このように巧みなビジネス戦略で、急成長しているフーズ社。そんな勢いある同社にも、早急に取り組まなければならない課題がある。それは、現段階で製造工場が1つしかないため、生産量が限られていることだ。
関連記事
- なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - えっ、炊飯器じゃないの? 三菱電機の高級トースターが面白い
三菱電機が高級トースターを投入する。この市場を見ると、バルミューダ、アラジン、シャープなどたくさんの商品が並んでいるが、三菱のトースターはどのような特徴があるのか? パッと見たところ、小さな炊飯器のように……。 - 復活できるのか? 再上場で注目される、ジーンズの「リーバイス」
リーバイスを展開するリーバイ・ストラウス社は、創業166年になる老舗ブランド。そんな歴史的な企業が、最近また注目されている。その理由は、2019年3月に同社がニューヨーク証券取引所に再上場したからだ。 - 「現金お断りの店」は、その後どうなったのか? ロイヤルHDの実験
1年ほど前、東京の日本橋に「現金お断り」のレストランが登場した。ロイヤルホストを運営するロイヤルHDが運営しているわけだが、キャッシュレスにしてどんなことが分かってきたのか。メリットとデメリットを聞いたところ……。 - 世界的にキャッシュレス化が進んでいるのに、なぜ米国は反発するのか
世界的にキャッシュレス化の動きが加速している。こうした動きの中で、反発する国がある。米国だ。ペンシルベニア州ではキャッシュレス型店舗を規制する法律が可決され、この動きは広がりつつ……。 - ストロー廃止はもう古い 昔ながらの「牛乳配達」モデルが注目されている
プラスチック製ストローを廃止しようという動きが話題になった。世界中でストロー廃止の動きが注目されているが、いま米国発の新たなプラスチックゴミ対策が話題になっている。どんな対策かというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.