中国が突き進む「一帯一路」と、ユーラシア鉄道網の思惑:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/6 ページ)
中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」。ユーラシア大陸全体に及ぶ構想において「鉄道」は重要なインフラだ。この鉄道網の整備の行方は、日本の政府や企業にとっても大きな影響を及ぼす。
海外鉄道ビジネスが動く背景に「一帯一路」
島国ニッポンの常識では、国際輸送は飛行機か船だ。しかしユーラシア大陸は違う。国際貨物輸送の主役は鉄道である。「中欧班列」の整備により、ユーラシア大陸の鉄道貨物ルートが日本の企業からも注目されている。「シベリア鉄道」にとってもこの動きは注目だろう。両者がスピードや運賃を競い合う構図となっており、荷主の利点になれば良い。しかし政治的な要素も絡んできそうだ。
東南アジアで中国が日本よりも貪欲に鉄道案件を受注しようとする。その背景も一帯一路だと思い至る。ロシアが北海道に鉄道を延伸したい理由も、シベリア鉄道のライバル「中欧班列」が念頭にあるからだろう。親中国資本か、脱中国資本か。ユーラシア大陸で起きている事象は、一帯一路と絡めると理解しやすい。
「シベリア・ランドブリッジ」と「中欧班列」の成功の行方は、実は日本の運送業者が握っているかもしれない。そして、国交省は「シベリア・ランドブリッジ」、経産省は「中欧班列」の実証実験に関わった、という構図も興味深い。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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