「マツキヨ・ココカラ連合」誕生が意味するもの:小売・流通アナリストの視点(1/5 ページ)
ドラッグストア大手マツモトキヨシとココカラファインの資本業務提携が意味するものとは――。
平成最後の平日となった4月26日、ドラッグストア大手マツモトキヨシ(以下、マツキヨ)とココカラファイン(以下、ココカラ)の資本業務提携に関する検討、協議開始というプレスリリースが発表された。2018年3月期売り上げ5589億円のマツキヨと、3910億円のココカラの売り上げを単純に合計すると9499億円となり、業界トップのウェルシアの6952億円を大きく上回る最大手グループとなる。これにより、しばらく業界ナンバー1のポジションを奪われていたマツキヨはトップの地位に返り咲くことになる。
両社のリリースによれば、「両社は地域のお客様の健康と美容の増進、生活の充実に最大の価値を置くという共通の理念を持ち合わせており、また、都市及び都市周辺部に多くの店舗を展開するという共通の特徴を有しております。加えて、両社は店舗の展開エリアを相互に補完できる関係にあることから、今般の資本業務提携を契機に、両社は互いの各種リソースやインフラ、ノウハウなどの経営資源を、相互に活用することにより、更なる発展を目指すことといたしました。」(プレスリリース抜粋)とのことだが、都市部の店舗網、両社の補完関係というのは、業界の店舗配置を見れば、その通りであることがよく分かる。
図表1は、現時点での3大都市圏におけるドラッグストアの都道府県別店舗数を示したものだ。マツキヨ・ココカラ連合は首都圏に900店超、京阪神で400店弱の店舗網を持つことになり、2位のウェルシアの首都圏680店、京阪神265店を大きく凌駕(りょうが)することになる。また首都圏はマツキヨ、京阪神はココカラという補完性も見て取れ、国内最大のマーケットである首都圏、京阪神を押さえるという意味で、両社の提携が最適の組み合わせであることは一目瞭然だ。
再編が最終段階に入りつつあるドラッグストア業界において、両大都市圏におけるトップシェアを確保するこの提携はかなりインパクトのある出来事になったはずだ。既にかなりの数のドラッグストアが存在し、新規出店の余地が多くはない大都市圏において、他社が店舗網で追い付くのは簡単ではない。マツキヨ・ココカラ連合は、自らが得意としている大都市マーケットにおいて、その生き残りを確実にしたといっても過言ではなかろう。
今や、市場規模7.3兆円(日本チェーンドラッグストア協会調べ)にまで成長したドラッグストア業界であるが、長く最大手としてけん引していたのがマツキヨであることはご存じの通りだ。1990年代に化粧品の品ぞろえの充実と明るく入りやすい店作りで、若い女性客の圧倒的な支持を集めることに成功したマツキヨは、首都圏のターミナル、繁華街で急成長し、業界最大手としての地位を確立した。
2000年時点のドラッグストア売り上げランキング(図表2)を見ると、マツキヨは既に売り上げ2300億円となり、2位以下とはダブルスコアに近い圧倒的なトップシェアを確保していた。現在の上位企業であるサンドラッグ、ツルハなどもランキングに名を連ねているが、この時点ではマツキヨの規模の3分の1にも満たない。その後、現在のランキング上位企業が、マツキヨをキャッチアップし、一時逆転することになるのだが、どんな経緯をたどったか、少し振り返ってみよう。
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