「マツキヨ・ココカラ連合」誕生が意味するもの:小売・流通アナリストの視点(2/5 ページ)
ドラッグストア大手マツモトキヨシとココカラファインの資本業務提携が意味するものとは――。
日用雑貨を充実 地方で遂げた成長
1980〜90年代、ドラッグストアは都市部を中心に普及していき、徐々に都市郊外、地方へと広がった。都市型のドラッグストアは、ヘルス&ビューティー(薬と化粧品)という品ぞろえを中心に女性客に受け入れられ、人口密集地である大都市で急速に店舗を増やして成長することとなり、当初は3大都市圏を基盤とするドラッグストアが上位企業に多く名を連ねた。
図表2にもある通り、2000年時点の売り上げ上位企業の多くは、本拠地が3大都市圏の企業で占められているのはそういった事情による。マツキヨは、若い女性の支持を得て、首都圏の繁華街で急速に店舗網を構築することで、圧倒的な地位を確立し、以降、長く業界最大手として走り続けることになった。
その後、都市郊外部や地方のロードサイドにも拡がっていったドラッグストアは、都市型の店舗に若干アレンジを加えた店作りを行っている。郊外や地方ロードサイドでは、都市部の繁華街のように人通りが多いわけではないため、より多くの顧客に店に足を運んでもらうための仕掛けが必要になる。そこで、店側ではより頻繁に買いに来てくれるような消耗品を幅広く取りそろえることで、来店の機会を増やすというやり方をとった。
幸いロードサイドの店舗は、繁華街よりも家賃が安く、比較的広いスペースの店を作ることができる。このため、購買頻度の高い日用消耗品雑貨(キッチン用品、バストイレタリーなど)の品ぞろえを充実させ、来店頻度を増やし、売り上げも補うという郊外型ドラッグストアを作った。
こうした店舗に駐車場を備えて出店することによって、ドラッグストアは郊外や地方でも成長することができるようになった。
郊外型の店舗は、チェーンストアであるドラッグストアにとって、人口密集地ではないというデメリットの裏返しとなるアドバンテージもあった。それは、人口密集地の良い立地は既に何らかの店やオフィスとして使われていることが多く、また場所を確保するための競争も激しいため、後発企業にとっては新たに出店することは簡単ではない。しかし、地方や郊外のロードサイドには、多くの出店余地が残されていたため、チェーンストアとして成長する伸びしろがあった。
マツキヨを初めとする大都市の繁華街を押さえた都市型のドラッグストアは、2000年代の初期までに主な好立地を確保して業界上位に成長したが、その後は成長余地が少なくなっていった。その間に郊外型ドラッグストアは出店を続けていくことで成長し、売り上げ規模の差は縮まっていった。
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