券売機を置かないすき家が下した「セミセルフレジ」という決断:ビジネスモデルと密接に関係(1/3 ページ)
すき家が「セミセルフレジ」の導入を進めている。19年3月末時点で約400店舗に設置済みで全店への展開を目指す。新型レジの選定にはすき家のビジネスモデルが密接に関係している。
すき家が「セミセルフレジ」の導入を進めている。2017年7月に一部店舗で実験的に設置したところ、多くの効果が確認できたためだ。ここ数カ月で導入のペースを加速させており、19年3月末時点で約400店舗に設置済みだ。今後、ほぼ全店での導入を目指すという。同じ大手牛丼チェーンでは、松屋はほぼ全店に券売機を設置している。吉野家は券売機を設置せずにお客がレジで注文し、出来上がった商品を自分で取りに行く「キャッシュ&キャリー」型店舗を増やすことで生産性を向上させようとしている。なぜ、すき家はセミセルフレジの利用を決めたのだろうか。
セミセルフレジのある店舗に行ってみた
筆者はセミセルフレジのある駒沢大学前店(東京都世田谷区)を訪れた。店内に入ると、U字カウンターの先端にレジが2台置いてある。レジにはタッチパネルディスプレーが付いており、硬貨やお札の投入口もある。
セミセルフレジの使い方はこうだ。カウンターやテーブルで商品を注文し、料理や伝票を受け取る。食事が終わったら、お客は伝票を持ってレジまで移動する。店員に伝票を渡すと、ディスプレーに支払う代金が表示される。お客は店員にお金を渡すのではなく、投入口に硬貨や紙幣を入れる。すると、ディスプレーに投入金額やお釣りの額が表示される。表示された内容を確認してから、「お支払OK」と表示された箇所をタッチするとお釣りとレシートが出てくる。
クーポンがある場合は、事前に店員に提示すれば割り引いてもらえる。また、ゼンショーグループのポイントカード「CooCa(クーカ)」や電子マネーなどにも対応している。
混雑時のメリット
駒沢大学前店ではこのレジを4月末から導入しているが、どのようなメリットがあるのだろうか。実際に使ってみた感想を担当者に聞いた。
担当者は「混雑時にお客さまがレジで待つ時間が減りました」と説明する。セミセルフレジを導入する前、ピークタイムになるとレジの前には会計を済ませようとするお客の行列ができていた。また、2台のレジにそれぞれ従業員が張り付かないといけなかったため、商品の提供時間が遅れることもあったという。
セミセルフレジを導入することで、1人で2台のレジを操作できるようになった。また、レジからお釣りを出してお客に渡す手間が省けるようになったため、レジ業務の時間が短縮された。
別の効果もあった。ランチタイムには商品をテークアウトするお客が多い。導入前は、ある店員がテークアウトの商品をお客に渡す一方、別の店員がレジで会計をしなければいけないケースもあった。つまり、接客に2人の店員が必要だったが、セミセルフレジを導入することで、1人でこなせるようになった。
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