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川崎殺傷で問う「事件と引きこもり」報道の危うさ 当事者団体に聞く:当事者性の欠落がもたらすもの(3/3 ページ)
川崎の無差別殺傷事件などで「引きこもり」というワードが浮上。属性と犯罪を結び付けるような報道に当事者団体が危惧している。真の問題点について聞いた。
当事者視点欠くメディアの危うさ
――SNS上の一般人の発言だけでなく、事件について伝えている一部のネットメディアやまとめサイトなども、偏見の拡散につながっている印象を受けます。当事者団体に取材した記事も散見される一方で、Twitter上のつぶやきなどの情報を「コピペ」するだけのコンテンツには、当事者視点を欠いた危うさを感じます。
室井: (引きこもりなどの当事者は)探すのも大変な存在なので、楽に(情報を)配信する方法を採るのは分かります。ただ、それは「推測」の記事になってしまう。当事者や経験者サイドの声に触れないで書けば、引きこもりに対する負のイメージが増幅される危険があります。
私たちの声明文でも、ネット上で(取材を伴わず)転載する記事が多かったです。私たちの言いたいことと(ネット記事での)「見え方」のズレも感じました。ネットであろうが紙媒体であろうが、メディアであることには変わりありません。逆に、(当事者視点を欠いた)「傍観者」として、どうしてこういった報道ができるの? とも感じてしまうのです。
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