もう1つSaaSビジネスで興味深いトピックとして、キャッシュフローの改善が挙げられる。売り切り型のソフトウェアモデルであれば関係ないかもしれないが、日々の運転資金に苦労する中小ソフトウェアベンダーにとって、クレジットカード課金を活用することでキャッシュフローに余裕ができる。
例えば、サービスを利用する側がサブスクリプション契約に基づいて利用量に応じた支払いを月内に行うと、その翌月には関連の入金が行われる。ところがクレジットカード決済でAWSを利用した場合、こちらの引き落とし発生は翌々月となるため、1カ月前後の猶予が発生する。
SaaS提供者側としては、AWSのインフラを活用し、その上にソフトウェア環境を構築して顧客にサービスを提供しているわけで、この差分は資金的猶予につながる。また、「三種の神器」のベンダーは実際に顧客がサービスインするまでの段階で無料プランの提供も行っており、キャッシュフローが回り始めるまでは無料でサービス開発を提供できるケースも多い。
まとめると、消費者行動の変化は企業が普段利用するビジネスソフトウェアの世界にも波及しつつあり、実際に政府機関をはじめ、規模の大小を問わず、遠からず何らかの対応が迫られるのは確実ということだ。
また同時に、この流れに対応する形でソフトウェアの提供者側も変化を迫られており、その鍵となるソリューションの提供も始まっている。トレンドを把握しつつ、時代の波に乗り遅れないよう、利用者と提供者ともに備えを万全にしておくべきだろう。
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