ちょっと前までチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が、減速した理由:スピン経済の歩き方(3/4 ページ)
ブームの牽引役などとチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が叩かれている。2018年12月決算は、8年ぶりに赤字。低迷の原因として、米国での閉店や類似店舗の増加などが指摘されているが、筆者の窪田氏は違う見方をしている。それは……。
「いきなり!ステーキ」減速と同じ構造
そんなのは強引なこじつけだと思うかもしれないが、同様の「客離れ」パターンに陥った外食チェーンは他にも存在している。
例えば、居酒屋チェーン「鳥貴族」。数年前まで全商品280円という安さから「せんべろ居酒屋」(1000円でベロベロになる飲める)の代名詞としてメディアに持ち上げられてきたが、19年7月期の単独最終損益は3億5600万円の赤字と撃沈。14年の上場以来初めて通期での最終赤字となった。
一般的に、この低迷は「値上げ」が悪いとされているが、鳥貴族自身が「既存店の近隣に追加出店した店舗での自社競合が発生」(2019年7月期 第3四半期決算短信)と分析しているように、「店の出しすぎ」も一因である。
飛ぶ鳥を落とす勢いだった15年、「2021年までに1000店舗を目指す」と宣言し、次々と店舗網を拡大。19年6月時点での店舗数はなんと660にまでなったのだが、その拡大路線に触発されたかのように、「やきとりセンター」「三代目鳥メロ」「ジャンポ焼鳥 鳥二郎」など次々とパク……ではなく、模倣店が生まれたのだ。
もうお分かりだろう、ブームの牽引役と持ち上げられたプレイヤーが、増えすぎた店舗と模倣店によって、かつての輝きを失っていくという意味では、「いきなり!ステーキ」の減速とまったく同じ構造なのだ。
6月8日から開催されている20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議のレセプションで、振る舞われた食品の中で注目された「100%とんこつ不使用ラーメン」(参照記事。それを開発した人気ラーメンチェーン「一蘭」の吉冨学社長に、1年ほど前インタビューをしたことがある(参照記事)。
大阪の店舗では、外国人観光客が長蛇の列をつくり、福岡本店は今や団体観光客が訪れる有名観光地になっている人気店なので、当然これからすごい勢いで店舗展開をしていくのでは? そんな風に尋ねたところ、社長は意外なことをおっしゃった。
「国内は出しても150店舗くらいですね」
また、全席禁煙にしたことで、愛煙家から「そんなバカなことをしたら店が潰れる」と散々脅されながらも、プラス成長を維持している「串カツ田中」は鳥貴族同様に「1000店舗」を目標として掲げているものの、現状は221店舗(19年4月の決算説明資料より)と「鳥貴族」や「いきなり!ステーキ」ほどの出店ペースではない。
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