ちょっと前までチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が、減速した理由:スピン経済の歩き方(4/4 ページ)
ブームの牽引役などとチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が叩かれている。2018年12月決算は、8年ぶりに赤字。低迷の原因として、米国での閉店や類似店舗の増加などが指摘されているが、筆者の窪田氏は違う見方をしている。それは……。
原因は「無謀な計画」
つまり、好調な飲食チェーンというのは往々にして、「1年に200店舗の新規出店」なんて感じで急速な拡大路線を歩まず、数年かけて着実に出店しているパターンが多いということだ。
そう考えていくと、ブームの牽引役として一世風靡(いっせいふうび)をした飲食チェーンが、イケイケドンドンで突き進んで店舗数が400、500という規模感になったあたりで失速するのも納得ではないか。
ステーキブーム、せんべろブーム、黒タピオカブーム、パンケーキブーム……日本の外食は勢いが減速すると、「値上げ」が悪いとか、消費者がトレンドに飽きた、などと分析されることが多い。もちろん、それが正しい場合もあるが、そういう複雑な話ではなくごくごくシンプルに、市場が「飽和状態」になっているケースも多いのだ。
あれが悪い、これが悪い、と周囲のせいにする前に、まずは自分たちが進めている「無謀な計画」にこそ原因があるのではないか、という視点も必要なのではないだろうか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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