全財産1200円まで落ちぶれた実業家の軌跡――京町家の分散型ホテルビジネスを成功に導いた原動力とは?:電気もガスも止められて(5/5 ページ)
京町家での分散型ホテルという宿泊ビジネスを確立し、急成長を続けているベンチャー企業がある。京都に進出してわずか2年で、約50棟の京町家・一棟貸しの宿を市内で運営するトマルバ。その創業者、山田さんに話を聞いた。
続けてこれた原動力は、信頼してくれる人の存在と、ただ「楽しかった」から
―― 本当に苦労続きですね……
山田 僕ら2人を信頼してくれた投資家の存在が支えになって、「せっかく僕らを救ってくれたのに、こんなところで折れていられない」と今まで踏ん張ってこれました。
また、僕個人で言えば、一緒にやっている芦野への恩もありました。もともと僕と芦野で一個850円のお弁当を売っていたのが、今は社員、アルバイト総勢で40人ほどの規模になり、一棟5000万円、1億円の町家を取り扱えるようになった。けんかが絶えないときもありましたが、やはりここまでやってこれたのは決して僕一人の力ではありません。
今まで走り続けられた理由として、そういうような「人との関わり」はとても大きいですね。
それと、僕も芦野も、どんな状況であっても自分たちがやっていることをただ単に楽しいと感じていました。そして、楽しいと感じられることなら、どんな状況になっても、乗り越えられると思うんです。
―― 山田さんや芦野さんのように、何かに挑戦する時の第一歩ってどんなことを気を付けるべきでしょうか?
山田 自分が「楽しい」と思えるものがまだないのなら、無理に独立したり、挑戦する必要はありませんが、もしあるのなら、段取りなんか気にせずにまずやっちゃえばいいと思います。
正しいやり方が分からなくても、やっていくうちに学ぶことのほうが多いですし、行動している人には誰かが手を差し伸べてくれます。
その過程でどんなことがあっても、諦めずに前進し続けていれば、いずれなんとかなるんですから。
山田 真広(やまだ・まさひろ)
1988年石川県生まれ。株式会社トマルバ取締役。宿ルKYOTOをはじめ、京町家の分散型ホテルのプロデュース・運営・管理を行っている。
現在株式会社トマルバでは、エンジニア、デザイナー、プロデューサー、セールス、マーケティングなどさまざまな職種を募集中。
(取材・文/タカダ ショウゴ、転載元/Work Switch)
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