月2496円で1日1杯 ビールの「サブスクリプション」サービスの狙い:平日の仕事終わりに
スプリングバレーブルワリーは6月17日から、月額制で1日1杯ビールを提供するサブスクリプションサービスを開始。東京・銀座の1店舗で実施する。
キリンビール子会社でクラフトビール事業を手掛けるスプリングバレーブルワリー(SVB)は6月17日から、月額制で1日1杯ビールを提供するサブスクリプションサービスを開始する。東京・銀座の1店舗で実施し、20〜30代のビジネスパーソンをメインターゲットに、来店機会の創出につなげる。
実施店は、東京都中央区銀座の「BEER TO GO by SPRING VALLEY BREWERY」(Ginza Sony Park内)。月額2496円(税込)で、平日のみ1日1杯のクラフトビールが飲める。実施期間は2020年秋まで。
店舗で提供されている17種類のクラフトビールが対象となり、日によって銘柄は変わる。通常価格は1杯500円のため、月5回来店すれば元が取れることになる。
6月13日に開いた発表会で、SVBの島村宏子社長は「働き方改革によって『自分の時間をどう過ごすか』を考える人が多い。ビールが持つ『会社の飲み会』『お付き合い』というイメージは変化している。ビールとのスマートな付き合い方を提案したい」と語った。
サブスク導入で売り上げ2割増見込む
サービスには、飲食店のマーケティング支援などを手掛けるfavyが提供するサブスクリプションツールを使用。スマートフォンで会員登録し、決済が完了すれば、店頭で会員券ページを提示するだけで利用できる。
favyは2016年10月から、月額制のコーヒースタンドを運営している。同社の高梨巧社長は「平日だけでも、1人あたりの平均来店数は月22回」と明かし、サブスクリプションサービスによる来店頻度の増加や売り上げ向上の効果について語った。
島村社長も「今回のサービス導入で、売り上げは2割増を見込んでいる」と話す。来店頻度が増えることで、食事を注文したりビールをおかわりしたりする需要が生まれることを想定している。「2回目の来店を促すきっかけをつくる、強いコンテンツになる」と期待する。
今後、属性や注文商品などの会員データをマーケティングに活用することも検討する。キリンビールが飲食店向けに展開しているクラフトビール用サーバ「タップ・マルシェ」に関するサービス提案にも生かすという。
favyの高梨社長は「誰が何を食べたか、という情報は、これまで勘や記憶に頼る部分が大きかった。詳細なデータがあれば、人気銘柄と一緒に注文されるサイドメニューなどの実態が分かる」と指摘する。サブスクリプションツールを、きめ細かい接客や実態を踏まえたマーケティング施策などに活用できるツールとして提案していく。
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