赤字のUber GMやフォードを超える時価総額の根拠は「自動運転」:令和時代に稼ぐ企業はここが違う(1/4 ページ)
5月にIPOしたUber。将来への高い期待を反映し、時価総額はGMやFordを超える700億ドルに達しています。しかし現在は赤字で、今後もしばらくは赤字の見通し。Uberの事業構造を読み解くと、どうなったらこの時価総額が正当化されるのかが見えてきます。キーワードは「自動運転」です。
令和時代に稼ぐ企業はここが違う:
「売り上げが急速に増えている」「同業他社と比べ利益率が高い」「新事業が好調」――平成から令和に突入する中で、時代の変化に対応できそうな企業の強さの秘密を決算書の数字やビジネスモデルを踏まえながら迫る。
今年2019年は、ユニコーン(評価額10億ドル以上の未上場企業)が数多くIPO(新規上場)を実施、もしくは実施する予定です。その中でも特に評価額が大きく、頻繁に話題に上がるのが5月に上場したUber Technologies(以下、Uber)でしょう。
Uberはリーマン・ブラザーズ破綻から半年後の09年3月にドラビス・カラニック氏によって設立されました。カリフォルニア州に本社を置く新興企業で、配車アプリを運営しています。顧客(乗客)はアプリを開いて時間、行先、車両のサイズなどを指定してリクエストを出すと、アプリが乗客の要望と近辺のドライバーとを自動マッチングする仕組み。マッチングが完了したら、ドライバーは乗客を目的地まで輸送します。いつでも好きな時にタクシーを呼べるような仕組みを作り上げました。乗客はUberに代金を支払い、Uberはドライバーに報酬を支払います。
時価総額は700億ドル
配車アプリを運営しているだけと考えれば、シンプルなビジネスといえますが、Uberの評価額は1200億ドルを超えるのではとささやかれていました。実際にはIPO直前に評価額を800億ドル〜900億ドルに引き下げました。また、現在はIPO時の株価45ドルを下回って推移しており、5月26日時点の株式時価総額は約700億ドルです。
マーケットは1000億ドル規模という事前評価を大きく下回る評価を下しているものの、今でも巨大企業に違いはありません。時価総額700億ドルを超える日本企業はソフトバンクグループとトヨタ自動車、NTTくらいです。Uberの時価総額は、創業10年の若い企業のバリュエーション(評価額)とは思えません。古参の大手自動車メーカーよりも高く評価されています。
以下は、大手自動車メーカー3社(トヨタ自動車、GM、Ford Motor)とUberの5月26日時点の株式時価総額です。
Uberは自動車の製造業ではないので単純に比較すべきではないかもしれませんが、その規模の大きさを感じ取れるのではないでしょうか。キャデラックやシボレーといったブランドを保有し、創業100年以上の歴史を持つGMよりも創業10年のUberの方がマーケットの評価は高いのです。
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