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赤字のUber GMやフォードを超える時価総額の根拠は「自動運転」令和時代に稼ぐ企業はここが違う(3/4 ページ)

5月にIPOしたUber。将来への高い期待を反映し、時価総額はGMやFordを超える700億ドルに達しています。しかし現在は赤字で、今後もしばらくは赤字の見通し。Uberの事業構造を読み解くと、どうなったらこの時価総額が正当化されるのかが見えてきます。キーワードは「自動運転」です。

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Uberはなぜ赤字なのか?

 損益計算書の項目をもう少し詳細に見てみましょう。以下は18年12月期のUberの損益計算書モデルです(営業利益まで)。


18年12月期のUberの損益計算書モデル

 100の売上高に対して122もの営業費用(売上原価50、販売費及び一般管理費77)がかかっており、22の営業損失となっています。

 売上原価率は50%ですが、これはIT系の企業としては大きいといえます。例えばFacebookの粗利率は80%超となっており、原価率は20%しかありません。なぜUberの売上原価率は高いのでしょうか。

 Uberの売上原価を構成する主な費用は、ドライバーへの支払とインセンティブ報酬です。この人件費がかさむ点が、Facebookなどのアプリ運営会社と事業構造の違いになります。米国では失業率が低下しており、安価なコストで優秀なドライバーを確保することが難しくなっているため、ドライバーへ支払う「過剰なインセンティブ」は増加傾向にあり、これがUberの収益を圧迫しているわけです。

 さらに販売費及び一般管理費(SG&A)の対売上高比率が77%というのも、新興企業特有の数値です。SG&Aのうち36%はセールス・マーケティング費用で、金を湯水のように使ってプロモーションをかけている様子がうかがえます。

 Lyftなど競合との顧客獲得争いは続いており、今はコストを掛けてでもシェア拡大を目指すという戦略は合理的です。とはいえ、SG&A比率が77%というのは持続可能ではありません。FacebookのSG&A比率は40%前後、Microsoftのそれは30%前後、Appleでは15%前後。Uberの80%弱のSG&A比率がいかに高いかがよく分かります。


各社の販売費及び一般管理費(SG&A)の対売上高比率

 Uberも将来的にはせめてFacebook並の40%程度のSG&A比率に抑えないと、持続的に営業利益を出せる体質に変われないでしょう。

 このような赤字企業のUberに対してマーケットは700億ドルという評価額を付与しているのはなぜでしょうか? Uberはいずれ黒字化して現在のAmazonやFacebookのような高収益企業に変貌するのでしょうか?

 少なくとも、マーケットはYesと言っています。700億ドルという時価総額がそれを物語っています。

 投資家はどんな未来を想像してUberの黒字化を見込んでいるのでしょうか?

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