50歳になった「ブルーレット」は、なぜ姿を変えても売れているのか:水曜インタビュー劇場(五十路公演)(4/5 ページ)
小林製薬の「ブルーレット」が売れている。50年前に発売された水洗トイレ用洗浄剤は、なぜ長く愛されているのか。その秘密を知るために、同社の広報に聞いたところ……。
菌を採取するために、家を訪問
土肥: 小さな小さなことを積み重ねたそうですが、売り上げを見ると、1980年代の半ばまでそれほど売れていませんよね。社内からは「だから言ったでしょ。売れないって」「さっさと撤退したほうがいいよ」といった声が聞こえてきそうですが、何が転機になって売り上げが伸びたのでしょうか?
鄭: 「画期的な商品を生み出したから」といった話はなくて、時代の影響を受けて、じわじわと売れていきました。70〜80年代にかけて団地が増えていくわけですが、それに合わせて、水洗化率が上昇していきました。商品が登場した69年は20%ほどでしたが、83年には60%ほどに。
また、タンクの上で手洗いができるモノが増えたこともあって、初代のつり下げ式ではなくて、おくだけタイプを開発しました(1986年に発売)。
土肥: ふむふむ。その後も、液体にしたり、除菌できたり、貼るだけにしたり。いろいろな商品を出していますね。
鄭: 除菌タイプを開発する際、汚れの一因を調べるために一般家庭のトイレに行って、菌を採取していました。研究室にあるトイレの菌も調べたのですが、それだけでは足りません。なぜならトイレに存在する菌は、食事内容などによって違ってくるから。ということもあって、実際に使われているトイレに通い続けて、菌を採取していきました。
ご家庭を訪問するときには、評価にバイアスがかかってはいけないので、社名は名乗りませんでした。採取後はトイレを清掃するのですが、このときに「なぜこの人は何度もウチに来て、トイレを掃除しているんだろう?」と思われたかもしれません。
土肥: ふむ。怪しい、怪しい。
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