50歳になった「ブルーレット」は、なぜ姿を変えても売れているのか:水曜インタビュー劇場(五十路公演)(5/5 ページ)
小林製薬の「ブルーレット」が売れている。50年前に発売された水洗トイレ用洗浄剤は、なぜ長く愛されているのか。その秘密を知るために、同社の広報に聞いたところ……。
時代に合わせて姿を変える
土肥: 新商品を生み出すために、地道な作業を繰り返していたわけですね。そんなこんなで商品を出して、売り上げを伸ばしてきたわけですが、その要因をどのように分析していますか?
鄭: 時代に合わせて、商品を出してきたことが大きいかもしれません。先ほども申し上げたように、タンクの上で手洗いができるようになって、おくだけタイプのモノを開発しました。その後、便の色によって自分の健康状態を知りたい人が増えたこともあって、無色のモノを発売することに。
10年ほど前からタンクレストイレが増えたので、便器に貼るタイプを開発しました。便器に手を近づけなければ貼ることができないので、お客さんから「衛生的にどうなのか」といった声がありました。この課題を解決するために、遠くからでも貼れる商品を発売しましたが、構造が複雑だったんですよね。組み立てるのが大変だったので、シンプルな構造のモノを出しました。ハンコのようにフタを外して、ぎゅっと押すだけ。
土肥: 次から次に商品を投入してきたわけですが、過去の歴史を振り返ると、いまひとつ売れなかったモノもあるのでは?
鄭: 芳香剤もデザインが重視されてきたこともあって、陶器タイプのモノを開発しました。しかし、ちょっと……でして(涙)。
土肥: 100円ショップに行ってもトイレ掃除のアイテムはたくさん並んでいますし、トイレを洗うトイレも出てきました。そうした環境の中で、次の一手を打つのも大変そうですね。
鄭: これまでさまざまな商品を出してきましたが、必ず課題が出てきました。改善点を素早くキャッチして、スピーディーに対応する。これまでやってきたことを、これからもやっていくといった感じですね。
土肥: 「ブルーレット変わるだけ」ですね。本日はありがとうございました。
(終わり)
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