ベストセラー『思考の整理学』著者・95歳“知の巨人”外山滋比古が語る「脱線のすすめ」:「知的試行錯誤」のすすめ【前編】(3/3 ページ)
95歳“知の巨人”外山滋比古が語る人生を面白く生きるための思考法――。
いくつになっても「脱線」のすすめ
電車は脱線すると困るから、できるだけ脱線しないように走ります。でも、人間の頭は脱線しなきゃダメなんですよ。
人のつくったレールを行けば、終点まではたどり着けるけれども楽しくない。脱線しなければ、いつも後をついていくだけ。絶対に前を追い抜けない。ずっと脱線しなかったら、最後までビリのままです。
だから、脱線や失敗ということに非常な意味があることが、ユーモアを解するようになるとだんだん分かってきます。
善悪を超越したところに新しい人間の価値があり、それは道徳的に非常にいいとは限らないけれども、面白い。
人間にとっての生きがいとなる、大きなもののひとつは面白さ。面白いことがあるというのは、非常な生きがいですよ。
常識的に考えれば脱線はよくないことだけれど、生き方としては、新しいことをするには脱線するしかないのです。コツコツと一生懸命やることがいちばんいいと思ってる人が多いわけですが、それとはまったく違うところに、人生の面白さがあるのです。
いわば「脱線のすすめ」。いくつになっても、どんどん「脱線」しましょう。
一見すると反社会的に見えるかもしれませんが、脱線する人がいないと新しいものが出てきませんから、世の中が成り立たないのです。(外山滋比古・談)
著者プロフィール
外山滋比古(とやま・しげひこ)
1923年、愛知県に生まれる。英文学者、評論家、エッセイスト。お茶の水女子大学名誉教授、文学博士。東京文理科大学英文科卒業後、雑誌「英語青年」編集、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授を歴任。専門の英文学をはじめ、言語論、教育論など広範囲にわたり独創的な仕事を続ける。著書には240万部のベストセラーとなった『思考の整理学』(ちくま文庫)をはじめ、『100年人生 七転び八転び ―「知的試行錯誤」のすすめ』『思考力』『思考力の方法』『忘れる力 思考への知の条件』『「マコトよりウソ」の法則』(以上、さくら舎)など多数。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
『思考の整理学』著者・95歳“知の巨人”外山滋比古が歩んだ「反常識人生」
95歳「知の巨人」による「反常識の仕事観」に迫る。
『思考の整理学』著者・95歳“知の巨人”外山滋比古が「留学」を選ばなかった理由
95歳「知の巨人」外山滋比古さんが語る「アウトサイダー人生」とは――。
「人類最強のメモ術」を教えよう――発達障害乗り越えた「世界的ベストセラー作家」を直撃
「バレットジャーナル」と呼ばれる箇条書きを使ったノート術に注目が集まっている。発案者のライダー・キャロル氏は、発達障害を抱えながら、自らの思考を整理するためにこの手法を生み出した。なぜバレットジャーナルは世界の人々に受け入れられているのか。ライダー氏に話を聞いた。
【独占】「ミニ四駆」の生みの親 タミヤ社長が語るプラモデルの未来
ミニ四駆の生みの親、タミヤの田宮俊作社長に、プラモデルの現状、そして令和時代を迎えた今後の在り方について語ってもらった――。
『ジャンプ』伝説の編集長は『ドラゴンボール』をいかにして生み出したのか
『ドラゴンボール』の作者・鳥山明を発掘したのは『週刊少年ジャンプ』の元編集長である鳥嶋和彦さんだ。『ドラゴンクエスト』の堀井雄二さんをライターからゲームの世界に送り出すなど、漫画界で“伝説の編集者”と呼ばれる鳥嶋さん。今回は『ドラゴンボール』がいかにして生まれたのかをお届けする。
ひろゆきの提言(1)――「1人産めば1000万円支給」で少子化は解決する
ひろゆきこと西村博之氏が、令和時代を迎える日本が今後どんなふうにヤバくなるのか、沈みゆく日本で生き抜くためにはどうしたらいいのかを3回にわたって提言する。第1回目は少子化問題について――。
マツコが絶賛した予約殺到の「できたてポテトチップ」! “神がかったうまさ”の舞台裏に迫る
1953年創業の小さなポテトチップメーカー菊水堂。同社の「できたてポテトチップ」はマツコ・デラックスが絶賛したことで話題となった。そのおいしさはどのように生み出されているのか。舞台裏に迫った。
午後7時閉店でも店長年収1000万円超え! 愛知県「地元密着スーパー」絶好調の秘密
愛知県東三河地方だけに5店舗しか展開していない「絶好調」のスーパーがある。「社員第一主義」を掲げ午後7時には閉店しているのに、店長の年収は1000万円を超える。その秘密に迫った。
ひろゆきの提言(2)――予測が難しい時代にハズさない「未来の読み方」
ひろゆきこと西村博之氏が、令和時代を迎える日本が今後どんなふうにヤバくなるのか、沈みゆく日本で生き抜くためにはどうしたらいいのかを3回にわたって提言する。第2回目は予測が難しい時代に、ハズさない「先読み」のコツ――。
ユニクロはいかにして中国で勝ったのか? 「20年の粘り腰」に見る強さの源泉
2002年秋、上海に初出店し、しばらく鳴かず飛ばずだったユニクローー。なぜ中国市場で勝つことができたのだろうか? 気鋭の論者が分析する。
世界最強の政党「中国共産党」の実像――14億人を支配する7人
中国はいかにして「S級国家」へとのし上がったのか? 中編では「中国共産党」の権力構造に迫る。
「キャッシュレス大国」中国の実相――“信用経済”の深い影
「買う」「食べる」「移動する」「遊ぶ」――。全てモバイル決済で済ませる「キャッシュレス大国」中国の驚くべき実態に迫る。
