スープラはBMW Z4なのか?:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/6 ページ)
スープラ/Z4共同開発企画の原点は、トヨタにあった。そして、特徴的なディメンジョンを決め、開発にGOサインが出てからは、スープラとZ4はそれぞれ独自に開発を進めた。共通基盤を開発してからは、それぞれの理想とするクーペとオープンカーを作るために完全に交流を絶って、それぞれが理想とするクルマを作った。スープラのチーフエンジニアが語る、開発インサイドストーリー。
先週の記事で、スープラを作った人たちは何を作ろうとしていたのか? そして商品企画や開発に関わる制約条件はどんなものだったのか? それらをどのように解決してクルマが作られたのかについて書いた。
しかし、あちこちに付いたコメントを見ると、もっとワイドショー的な興味の方が強いことが分かった。それは「トヨタはスポーツカーを作る技術がないからBMWにクルマを作ってもらって、外見だけいじってスープラとして売っているだけだ」というご意見だ。
まあ一応は“ご意見”と書いたが本音ではノイズだと思っている。エンジニアが数年をささげた仕事をそういう見方でしか見られない人は、自分の仕事にだってどう向き合っているのかと思わざるを得ない。
さて、本題に入る前にひとつお断りをしておく。筆者は普段チーフエンジニアの名前を書かない。クルマそのものに厳しい評価を下す場合でも、別にチーフエンジニア個人をつるし上げる意図はない。だから名前を入れない。そしてそういう主義を取るなら、褒める時も同様であるべきだと思う。ただし役員以上については、その限りではない。個人として批判されることも含めて経営責任を引き受けるべきだと考えるからだ。
しかし今回は特例としてチーフエンジニアの名前を書く。今回の記事は、提携準備からの話がどのように進んだかをインタビューで解き明かすインサイドストーリーであり、そのストーリーにとって、誰が言ったかは欠かすことができない情報だからだ。スープラ/Z4共同開発企画の原点は、トヨタ主導だ。そこから書き起こそう。
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