スープラはBMW Z4なのか?:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/6 ページ)
スープラ/Z4共同開発企画の原点は、トヨタにあった。そして、特徴的なディメンジョンを決め、開発にGOサインが出てからは、スープラとZ4はそれぞれ独自に開発を進めた。共通基盤を開発してからは、それぞれの理想とするクーペとオープンカーを作るために完全に交流を絶って、それぞれが理想とするクルマを作った。スープラのチーフエンジニアが語る、開発インサイドストーリー。
スープラ開発インサイドストーリー
トヨタの内部に、そして特に北米マーケットには「スープラ復活」を強く望む声が長らく響いていた。それについてスープラのチーフエンジニアである多田哲哉氏はこう語る。
2012年5月に、欧州のジャーナリスト向けに86の試乗会をスペインのバルセロナでやりました。その中日に日本から電話がかかってきて、唐突に「お前今すぐこっそりミュンヘンに行け。BMWに行って、共同でクルマが作れるかを聞いてこい」と言われました。試乗会の後半は、私がどこへ消えたのかも言えずむちゃくちゃになったらしいです(笑)。
その時は、車種の指定もなければスポーツカーを作るという話でもなかったんです。ただ誰にも言うなと。その唐突な命令に自分自身が一体会社から何を求められているのかを考えると、思い当たる節がありました。
86を開発している途中から、世界中のトヨタのディーラーやファンから「スープラはいつ帰ってくるんだ」と。それは豊田章男社長からも「俺のスープラはいつ新車になるんだ」と言われていたんです。
スープラのヘリテージは直6です。その当時、直6の高性能エンジンを持っているのはBMW以外にありませんでした。そういう諸々を考えるとこれはもうスープラを作れという話だとしか私には考えられなかったんです。
そこから数年がかりでどんな契約にするか、どんなクルマにするかを話し合っていったんですが、当時の交渉相手は当時BMWの副社長だったヘルベルト・ディースさんだったんですね。
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