「すしざんまい」危うし!? 東京進出する「スシロー」が蹴散らす同業者とは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
郊外型で成長してきたスシローが“首都侵攻”を本格化させる。都内はすしざんまいなどのチェーンが群雄割拠の状態。東京を舞台にした再編は起きるか?
都内は業界再編が進んでいない
東京都内の低価格寿司のチェーンがいまだに群雄割拠の状態で、1皿の平均的な価格も高めなのは、大手が攻めてこなかったからだ。業界再編が進んでいない全国的にも例外的な場所となっている。
しかし、今回のスシローは本気だ。都心へと本格的に侵攻するに当たって、5月13日から6月12日までの1カ月間、「山手線全駅スシロー出店プロジェクト」を実施した。これは、どの駅前にスシローを出店してほしいか、一般の回転寿司ファンにTwitterでの投票を呼び掛けるものだ。投票者のうち500人に対して食事券2000円をプレゼントする特典を付けた。
また、山手線を巨大な回転寿司のレーンに見立てて、寿司の画像でラッピングした「スシロートレイン」を最大で10編成走らせた。そして、山手線の各駅(一部を除く)のホームドアをカウンターに見立て、沿線に出店を加速するという告知をするとともに、物件募集の広告を掲示した。
このような前代未聞の度肝を抜く“山手線ジャック”ともいうべき大掛かりな交通広告の成果として、中央線の駅前に出店した荻窪店や国分寺店などでも連日、行列ができるほどの繁盛ぶりである。他の路線から乗り換えて利用する人が多い山手線だけに、電車を使って通勤・通学する首都圏の住民にスシローへの関心が飛躍的に高まった。
大崎駅が1位
出店場所総選挙の結果はどうだったのか。総計2万1055票のうち、出店してほしい駅の1位は大崎駅(3354票)だった。2位は新宿駅(2508票)、3位は秋葉原駅(2204票)と続いた。
ターミナル駅でもない大崎駅がダントツの1位となったのは意外だが、再開発が進みオフィスビルや高層マンションも多い土地柄なので、スシローような回転寿司大手の出店を心待ちにしている人が多いのかもしれない。
あきんどスシローの広報担当者は「結果は真摯(しんし)に受け止め、出店に向けて努力していきたい」としているが、物件の取得が前提となるので、「必ず出す」と明言はできないようだ。すぐには無理でも、大崎駅前への出店を実現させてファンの熱烈な期待に応えてもらいたいものだ。
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