「すしざんまい」危うし!? 東京進出する「スシロー」が蹴散らす同業者とは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
郊外型で成長してきたスシローが“首都侵攻”を本格化させる。都内はすしざんまいなどのチェーンが群雄割拠の状態。東京を舞台にした再編は起きるか?
元気寿司が業界再編の鍵に?
しかし、すしざんまいには「まぐろ」という強烈な売りがある。まぐろの初競りで毎年のように木村清社長が大枚をはたいて競り落とす姿を顧客は驚嘆の目で見ている。一方、そこまでの売りがないチェーンは、駆逐されていくのではないだろうか。
そうした中で、魚がし日本一は18年9月、JR西国分寺駅の改札内に「nonowa西国分寺店」をオープン。駅ナカという新しい立地を開拓し、中央線と武蔵野線の乗り換えの合間に、寿司をつまんでいく人などで賑わっている。魚がし日本一には座って食べる寿司店もあるが、屋台のような感覚で小さなスペースを活用し、立ち食いのニーズをつかんでいく店づくりは、このチェーン独特の強みである。36店のうち、立ち食いは28店だ。
去る6月18日、スシローグローバルホールディングスは、米卸の神明ホールディングス及びその傘下の元気寿司との資本業務提携を解消。スシローと元気寿司の統合がなくなった。両社とも業績好調で方向性も異なるので、統合しないほうが良いという結論となったとのことだ。
神明の藤尾益雄社長が回転寿司業界の再編を諦めていないのなら、これから東京の中規模チェーンをM&Aして、元気寿司に統合することも十分にあり得る。数年後には街の人が見知った店の看板が、一斉に元気寿司に掛け変わっている――そんな事態を目撃するかもしれない。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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