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永遠の輝きに陰り ダイヤモンド業界が衰退している地殻変動(3/5 ページ)

ミレニアル世代(1981年から96年に生まれた世代)の購買行動に、危機感を抱いている人たちがいる。ダイヤモンド業界だ。ミレニアル世代は結婚適齢期に差し掛かっているので、ダイヤは売れているはずだが……。

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コントロールできない状況に違和感

 ダイヤモンドという高額商品を購入する際は、独特のプロセスを踏むことになる。大抵の場合、店員と1対1でショーケースの中の商品を指定しながら選ぶ。勝手に商品を触ることは許されず、自由に見て回ることができない。

 店員との間には、微妙な距離感と緊張感が存在する。場合によっては、個室でやり取りが行われることもある。他の買い物のように、自分の好きな時に好きなように買うことができないのだ。

 ミレニアル世代には、そうしたコントロールができない状況に違和感を覚える人が少なくない。そして、購入プロセスのわずらわしさから、婚約指輪をあきらめて別の物へと指向を変えてしまうこともあるという。もっとも、結婚に際して永遠の愛の証を求めるのなら、別に婚約指輪ではなく、バケーションや他の品物であってもいいはずだからだ。

 またこんな問題もある。ダイヤモンド業界はネット対応に遅れているのだ。一般的に何か購入するときは、インターネットで情報を検索してリサーチすることが多い。それから、店舗へ足を運んだり、ネット通販で商品を購入したりするのが今どきは普通になっている。

 しかし、ダイヤモンド業界では、インターネットでは十分な情報が提供されず、ネット通販も盛んではない。数千ドルもするダイヤモンドを買うのに、商品の詳細であったり、着用した場合のイメージを想像できるような、商品を購入するための後押しが乏しいのだ。そのため、ダイヤモンドなど高級宝飾品のネットでの売り上げは、業界全体の10%ほどしかないという。

 デジタルネイティブな若者にとって、ネットでのプレゼンスが低いものは、この世に存在しないも同然だと言っていい。つまり、ダイヤモンド業界はミレニアル世代にアプローチする大きなチャンスを逃していることになる。

 さらに言うと、ミレニアル世代は、婚約指輪を購入することになっても、価格に対して非常にシビアである。米国のウエディング雑誌の調査によると、米国人の婚約指輪の平均購入価格は、18年に5680ドルだった。

 しかし、ミレニアル世代は、婚約指輪にそんな大金を払うことに難色を示しているという。2500ドル以下で十分と感じている、という調査結果もあるくらいだ。

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