永遠の輝きに陰り ダイヤモンド業界が衰退している:地殻変動(4/5 ページ)
ミレニアル世代(1981年から96年に生まれた世代)の購買行動に、危機感を抱いている人たちがいる。ダイヤモンド業界だ。ミレニアル世代は結婚適齢期に差し掛かっているので、ダイヤは売れているはずだが……。
注目される合成ダイヤモンド
将来の不安に備えて貯金をするなど資産管理にも熱心なミレニアル世代にとって、結婚に関連する出費にもシビアなのは当然なのかもしれない。結婚式の費用を自分たちで負担する必要があれば、なおさら婚約指輪の金額は低く抑えたいだろう。
その他、ミレニアル世代が気にしているのは、ダイヤモンドの販売経路に関する透明性だ。自分たちが購入するダイヤモンドが、映画『ブラッド・ダイヤモンド』のように劣悪な環境で搾取されたものではないかと、倫理的な観点から知りたがるのだという。
確かに、結婚という人生の華やかなイベントに水を差すような、暗い背景を持つダイヤモンドを身に付けたくないというのは理解できる。
とはいえ、ダイヤモンドは鉱山から発掘しなければならないため、かなりの労力が必要になる。危険が伴うのは当然で、だからこそ高額なのだが……。
ミレニアル世代は、価格にもシビアで販売経路にも透明性を求める。とにかく、要求が厳しいのだ。そんなミレニアル世代にぴったりなのが、合成ダイヤモンドである。
合成ダイヤモンドは、60年以上前から市場に存在していたが、テクノロジーの進化に伴い、生産コストが劇的に下がっており、品質も向上している。ちなみに、10年前に1カラットの合成ダイヤモンドを生産するにはコストが4000ドルかかったのが、現在では300ドルから500ドルほどになっている。
ただ、ダイヤモンド市場に流通する合成ダイヤモンドの割合はまだまだ低い。現在、合成ダイヤモンドの売り上げは20億ドルほどしかないが、今後、成長が期待される分野として注目されている。
そしてこのトレンドにいち早く対応したのが、業界大手のデビアスだ。デビアスは、合成ダイヤモンドを使用したファッションジュエリーのブランド「Lightbox(ライトボックス)」を18年に立ち上げ、マーケティングに本腰を入れている。
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