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「複々線」にできない混雑路線は、乗客をどうやってさばくのか:理想はあるけど(4/4 ページ)
混雑を緩和させるために、首都圏の鉄道会社はさまざまな取り組みを行っている。そのひとつに「複々線化」がある。その一方で、複々線化を実現できない混雑路線もある。そうしたところは、多くの乗客をどうやってさばいているのか。
東西線の混雑緩和大プロジェクト
東京メトロ東西線は、木場〜門前仲町で199%の混雑率となっている。東西線の西船橋方面から都心へと向かう区間は混雑が慢性化しており、人口密集地帯で地下区間もあるため簡単には複々線にはできない。
東京メトログループの中期経営計画「東京メトロプラン2021」では、東西線での輸送改善策として南砂町での2面3線化(都心へ向かう列車が相互発着できる)、茅場町でのホーム延伸(乗客の流れを分散する)、木場でのホームコンコースの拡幅、飯田橋〜九段下間での折り返し設備設置が記されている。
これらの施策により、都心に向かう東西線の列車を増発することができ、混雑も緩和することが可能になる。
混雑を緩和させるために、大規模な複々線化はよい方法だ。しかしそれができなくても、小規模な複々線や、発着方法の工夫や改良工事により混雑を緩和している。大都市圏に暮らし鉄道で通勤・通学している読者は、自身の利用している路線がどのようにして混雑を緩和しようとしているか、よく観察してみてはいかがだろうか。
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