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『AKIRA』悲願のハリウッド映画に! 日本作品の実写化が止まらない真相:ジャーナリスト数土直志 激動のアニメビジネスを斬る(6/6 ページ)
『AKIRA』が17年越しでハリウッド実写化についに日の目。背景には日本アニメを取り巻く世界市場の変化がある。アニメ・映像ビジネス報道の第一人者が斬る。
ハリウッドと渡り合える新アイデアを
そして、日本の人気作品が出し尽くされることもあるかもしれない。 『君の名は。』だけでなく、『僕のヒーローアカデミア』『進撃の巨人』のような最新作の実写映画化が既に言及されている。日本の有力コンテンツは思ったより早く出し切られてしまうかもしれない。主要なタイトルが無くなれば、人気を理由に日本コンテンツに目をつけたハリウッドもその時点で関心を失い、次に続かない。
日本が目指すべきは、すでにあるメジャーコンテンツだけでなく、新たなアイデアやコンセプトをどれだけ売りにできるかだろう。できれば企画段階から映画化に関われる体制があると良い。さらに製作自体に参加し、作品のヒットが日本側の収益拡大につながる形が望ましい。
このハードルは高いように見える。しかし『名探偵ピカチュウ』では、株式会社ポケモンや東宝が製作に参加している。『カウボーイビバップ』では日本のスタッフも製作メンバーに名を連ねる。ここでも時代は変わってきている。日本アニメの実写化においては、日本側は強力なコンテンツを持った上で、どれだけ良い条件でハリウッドと取引できるかが問われる段階に突入しているのだ。
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