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国鉄と共に消えた「チッキ便」 新たな枠組みで復活させたい杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/5 ページ)

サザコーヒーと木内酒造が路線バスを使った商品輸送を始めた。その背景に貨客混載の規制緩和があり、全国的に貨客混載の事例が誕生している。地方鉄道にもチャンスがありそうだ。国鉄時代の「チッキ便」を、新たな枠組みで再出発させる契機になるかもしれない。

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 「サザコーヒー」と「木内酒造」が、水戸から東京まで、JRバス関東の路線バスを使った商品輸送を始めた。6月24日から7月31日までの実証事業だ。その背景に国土交通省による貨客混載の規制緩和があり、全国的に貨客混載の事例が誕生している。空気を運ぶよりモノを運ぶほうが良い。その考え方を進めると、地方鉄道にもチャンスがありそうだ。国鉄とともに終わった「チッキ便」を、新たな枠組みで再出発させる契機になるかもしれない。

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路線バスを使った貨客混載の実証実験が始まった

 この実証事業の参加者は「サザコーヒー」「木内酒造」「JR東日本水戸支社」「JRバス関東」「JR東日本物流」「鉄道会館」だ。

 荷主の「サザコーヒー」は、コーヒーファンの間でも話題のコーヒーショップだ。1970年代の喫茶店ブームのころにいち早く自家焙煎を始め、その後はコーヒーの卸売りも手掛け、いまや南米に自社のコーヒー園を持つ。本店は茨城県ひたちなか市、JR勝田駅のそばにある。そして東京駅付近の商業施設「KITTE丸の内」に直営店「サザコーヒーKITTE丸の内店」を出店している。

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サザコーヒー本店にて。サザの店名の由来は「表千家の且座式」。徳川家の末裔と開発した徳川将軍コーヒー(手前)は720円。最高級の珈琲豆「パナマ・ゲイシャ」はなんと1杯3000円(奥)

 「木内酒造」は茨城県那珂市の酒造会社だ。清酒、地ビールの製造を手掛ける。鉄道ファンなら、寝台特急カシオペアや北斗星の食堂車でも提供されていた「木内梅酒」を覚えているかもしれない。現在、東京駅八重洲口のグランルーフに地ビールの直営店「常陸野ブルーイング・ラボ 東京駅店」を出店している。これは都内2号店。初出店は神田万世橋だった。

 「JRバス関東」はJR東日本グループのバス運行会社だ。茨城・福島・栃木・群馬・千葉・長野県でローカルバスを運行するほか、東京と各地を結ぶ路線バスを運行する。「JR東日本物流」は駅構内の店舗への配送業務を中心とする運送業、「鉄道会館」は東京駅エリアで商業施設を運営する。

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