社員を拉致!? マンションの管理会社を脅かす「モンスター住民」の実態:コンサルタントは見た!(2/4 ページ)
マンション内に「モンスター住民」が増えつつあるようだ。ひどいケースになると、管理会社の社員を“拉致”する事態も。実態はどうなっているのか。
モンスターの種類
土屋氏によると、モンスターにはさまざまな種類がいるという。しかも、マンションの理事会(委員会)と、管理組合員(住民)サイドの両方に発生する可能性がある。どのように区分されるのだろうか。
(1): 管理会社圧迫系(理事会)
冒頭で紹介した事例のように、管理会社の失態を追求し、委託費の減額や返金などを強固に求めるタイプのモンスター。度が過ぎると、管理会社との信頼関係が崩れ、結果的にマンション側が損をする可能性がある。
(2): コストダウン系(理事会)
マンションを適切に維持していくためには、「このくらいの修繕積立金は必要だよね」という相場がある。しかし、管理会社から何度も修繕積立金の増額提案を受け付けているにもかかわらず、さまざまな理由をつけて増額に応じないタイプのモンスターがいる。
土屋氏は「一般的に築30年のマンションで修繕積立金が月1万円というのはあり得ません。モンスター本人は、『俺のおかげで積立金が上がらずに済んでいるんだ!』と思い込んでいます。将来的には、修繕積立金が大幅に不足したり、管理会社から管理委託契約を更新拒否されたりするリスクがあります」と説明する。
(3): 修繕工事系(理事会)
大規模修繕工事の施工会社の選定から、発注契約まで一切を仕切るタイプのモンスター。自身が思った通りの計画を実行するため、他の理事や委員を大声で威嚇(いかく)したり、管理会社の担当者を罵倒(ばとう)したりする。怪文書の配布をすることもある。
モンスターが暴走した結果、不透明な工事発注が行われ、管理組合内部が紛糾(ふんきゅう)することもある。発注先の施工会社を身内や知人が経営していることもある。バックマージンが目的だったり、「俺がこの仕事をとってきたんだ」と仲間内で大きな顔をしたかったりするケースが考えられる。
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