ジャニーさんは「敬語」を使わなかったのに、なぜ人材育成がうまかったのか:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
ジャニー喜多川氏が亡くなった。さまざまな「伝説」が取り上げられているが、筆者の窪田氏が注目しているテーマがある。「人材育成術」だ。ジャニー氏は「敬語」を使わなかったのに、なぜ多くのスターが生まれたのか。
ジャニー喜多川氏が亡くなってからというもの、さまざまな「伝説」が取り上げられているが、その中に、世のビジネスパーソンにとっても非常に参考になるテーマがあった。
それは、人材育成術である。
「ユー、やっちゃいなよ」でお馴染みの「習うより慣れろ」の現場主義、かつてラジオに出演した際に述べた「どの子だってみんな人間の美しさってある」という言葉に象徴される、一人一人の個性を引き出す教育方針など、人材育成に悩む管理職のヒントになるような話が山ほどあるのだ。
ただ、その中でも、これからのビジネスパーソンが参考にすべきだと強く感じるのは、「敬語禁止」である。
ジャニー氏は育成しているジャニーズJr.たちから敬語を使われると怒った。中学生くらいのJr.たちが仲間内でしゃべっていると、「その感じで何できてくれないんだ。仲間外れだよ」とタメ口を要求。嵐のリーダー大野智さんもかつて、Jr.時代にジャニー氏に「さよなら」とあいさつをしたら、「なんだよ“さよなら”って。バイバイだろ」と怒られたエピソードを明かしている。
もちろん、事務所の社長として対外的に芸能記者やテレビ局の人間などと接する時は、丁寧な敬語を使っていた。むしろ、我が子ほど年が離れているような若輩者であっても決してえらぶることはなく腰が低かったという。つまり、「敬語禁止」はあくまで組織内限定で、タレントとの距離を縮めて、人材育成を円滑にする目的のためなのである。
ジャニー氏がこのやり方で個性豊かなタレントを育て、レベルの高いエンターテインメントのショーをプロデュースしてきたことは、動かしがたい事実である。
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