ジャニーさんは「敬語」を使わなかったのに、なぜ人材育成がうまかったのか:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
ジャニー喜多川氏が亡くなった。さまざまな「伝説」が取り上げられているが、筆者の窪田氏が注目しているテーマがある。「人材育成術」だ。ジャニー氏は「敬語」を使わなかったのに、なぜ多くのスターが生まれたのか。
CANと思ったら、DOしちゃったら
いい人材が育たない、育ったらすぐに辞めてしまう、なんてお悩みを抱える管理職のユーたちもこれをCANと思ったら、DOしちゃったらどうかと思う次第なのだ。
と言うと、「んなもん、できるわけないだろ! この低脳が!」というお叱りがジャンジャン飛んでくるだろう。「敬語禁止」なんてハチャメチャは、世間の常識とかけ離れた芸能界だから通用するのであって、まともな組織ではできるわけがない。そんな声が聞こえてきそうだ。
だが、実はそれは日本や韓国など儒教思想を引きずる一部の国の人々が思い込んでいる「妄想」みたいなもんで、実際には「敬語」は組織運営には何の関係もない。というより、きれいさっぱりなくしてしまったほうが、個々の能力を引き出し、強い組織をつくれるなどメリットのほうが多いのだ。
その動かぬ証拠が、全国高校サッカー選手権大会でベスト8に輝いた、帝京長岡高校サッカー部である。
サッカーファンの間で知らぬ者のいない、全国大会過去5回出場の新潟を代表するこの強豪校は、実は他の強豪サッカー部と大きく異なる特徴がある。下級生が上級生を呼び捨てにする「タメ語OK」なのだ。敬語を使うなと指導されているわけではなく、サッカーをする上で余計な上下関係を考慮しなくていいというだけの話である。
では、この「敬語なき組織」はムチャクチャなことになっているのか。『サッカーダイジェストWeb』に掲載されていたライター、川端暁彦氏の記事を引用させていただこう。
『遠く岡山県からやって来た田中などは当初、そんなフレンドリーな雰囲気に大いに戸惑ったと話す。だが、今では3年生を「むしろイジる側」になっているそうだ。「それで(3年生が)怒ってきたりもしないし、何でも話せる関係になってきた」と言う』
『主将の小泉は「どちらが先輩なのか分からない関係です」と笑いつつ、風通しの良いチームであることをポジティブに捉えてきた。下級生を押さえつけたりはしないし、それで押さえられるとも思っていないようだ。古沢徹監督が「3年生たちが2年生を伸び伸びやらせてくれているのが大きい」と分析する』(2019年1月4日 6時10分 サッカーダイジェストWeb)
「敬語」がないことによって、メンバーのコミュニケーションが円滑に進み、個々の能力が引き出されていることがうかがえよう。
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