ジャニーさんは「敬語」を使わなかったのに、なぜ人材育成がうまかったのか:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
ジャニー喜多川氏が亡くなった。さまざまな「伝説」が取り上げられているが、筆者の窪田氏が注目しているテーマがある。「人材育成術」だ。ジャニー氏は「敬語」を使わなかったのに、なぜ多くのスターが生まれたのか。
「サーバントリーダー」という概念
年長者や目上の人に対して言葉遣いや態度で敬意を払うのは、どんな国、どんな文化でも常識だ。ただ、日本や韓国など一部の国が特殊なのは、組織人に「敬語」を日常的に強要することで、人としての敬意以上の「過度な上下関係」を体に叩き込むことにある。
これが事故や不正を招く「権威勾配」の温床となる。「いや、上下関係があっても、何か問題があれば立場を超えて意見を言い合えるのが日本企業だ」とかなんだとムキになって反論をする人もいらっしゃるだろうが、そんなに都合良く人間関係が変わらないことは、日本中のサラリーマンが身をもって体験しているはずだ。
組織内で必要以上に「敬語」を強要することが、百害あって一利なしだということがよく分かっていただけたと思うが、では、「敬語」や「上下関係」を用いないとするのなら、どうやって組織に秩序を生み、部下や後輩をマネジメントすればいいのかという問題がある。
これまで社歴が長いというだけで、えらそうにふんぞり返ってきたのに、いきなりジャニー氏のように「ユー、敬語やめちゃいなよ」なんて感じでフレンドリーになれないと絶望的になっている方に、ぜひ参考にしていただきたいのが、武井壮さんのアイデアだ。
『体育会系の部活なんかで上級生が下級生に雑用させたりするのが慣習だけど、逆にしたらすごい人間性育つと思うわ。上級生が水汲みしてあげたり、道具の片付けしたりすれば後輩は先輩をより尊敬できて、先輩は社会に出る準備もできるし思いやりを持てる。誰かにやらせるより誰かを思える選手になれる』(2017年2月21日 武井壮さんのTwitterより)
これをビジネスシーンに当てはめると、上司と部下がタメ口で語り、上司が部下のために雑用をこなすという、「サーバントリーダー」という概念に近い。
日本人は企業はピラミッドで、新入社員はその底辺で上を支えるという考えだが、サーバントリーダーは組織を逆ピラミッドと捉え、リーダーは全体の奉仕者である。
理屈は分かるけど、そんなリーダー、現実にいないだろと思うかもしれないが、実はこれこそがジャニー喜多川氏だ。
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