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ジャニーさんは「敬語」を使わなかったのに、なぜ人材育成がうまかったのかスピン経済の歩き方(5/5 ページ)

ジャニー喜多川氏が亡くなった。さまざまな「伝説」が取り上げられているが、筆者の窪田氏が注目しているテーマがある。「人材育成術」だ。ジャニー氏は「敬語」を使わなかったのに、なぜ多くのスターが生まれたのか。

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ジャニー喜多川氏のやり方

 ジャニー氏は芸能界の有力者でありながら、服装にはこだわらず、いつも用務員のおじさんのような格好をしていたそうだ。そして、実際にJr.の養成所では、「ユーたち、お腹減ってない?」と言ってはナポリタンなどを自ら作っていたという。

 敬語を嫌い、孫ほど離れた若者と同じ目線で、個々の能力と、その人間の魅力を引き出すことのサポートに徹底した。実は典型的な「サーバントリーダー」なのだ。

 いずれにせよ、今の日本はファミレスやコンビニの過度な「敬語」からも分かるように、不要な「敬語」が多く、それが人間関係を複雑にして、本来の能力を引き出すことを阻害している。

 それを象徴するのが今年4月、マイナビが行った「在日外国人のアルバイト実態」についての調査だ。在日外国人が日本で働いてみて感じたギャップは、1番目に「挨拶・マナーが厳しい」(39.1%)、それに続き「時間に厳しい」(36.1%)、「上下関係が厳しい」(34.7%)と礼儀作法について答えた人が多かったという。


(出典:マイナビ)

 日本語だけでなく、仕事を覚えることも大変なのに、あいさつや上下関係の厳しさという本来の仕事とは関係のないところで苦しんでいるのだ。これからは多様性だなんだとカッコイイことを言っても結局、働きに来てくれている外国人に対して、部活の新入生イジメのようなことをしているのだ。

 こういう「権威勾配」を解消するには、まずは「敬語」をやめてみてはどうだろう。ブラック化が止まらない今だからこそ、異能のサーバントリーダー、ジャニー喜多川氏のやり方から学ぶことが多いのではないか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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