老後2000万円問題はピンチかチャンスか(1/3 ページ)
老後資金が年金以外に2000万円必要という金融庁レポート。国民の間では「年金だけでは足りないなんて、いまさら言われなくても当然」といった覚めた意見や、「これを機に資産運用を始めなければ」という意見も。資産運用サービス各社は、ユーザーの関心が高まっているのを肌で感じている。
老後資金が年金以外に2000万円必要という金融庁レポートが話題になってから、そろそろ1カ月。国会答弁はともかく、国民の間では「年金だけでは足りないなんて、いまさら言われなくても当然」といった覚めた意見や、「これを機に資産運用を始めなければ」というまさに金融庁レポートの意図どおりの意見も見られる。
実際、ロボアドバイザー大手のWealthNaviでは、6月の口座開設数が前月比19%増。6月19日に預かり資産が1500億円を超え、7月11日には1600億円を達成するなど投資資金の流入が加速している。
お金のデザインが運営するロボアドバイザーTHEOでは、「検索からの流入数が30%ほど増加している」といった変化があった。ファイナンシャルプランナーにチャットで相談できる無料サービス「お金の健康診断」についても、6月は相談件数が前月に比べ約5倍に増えた。「資産形成やお金についての興味関心や不安が、非常に高まっているのを感じている」(お金のデザイン)
このように関心が高まる中、「どう運用したらいいのか分からない」という声もある。
WealthNaviの牛山史朗執行役員は、長期に投資を行うことが重要だとアドバイスする。「積み立て始めるまでの期間が、若いほうが余裕があるので、どのくらい増やせるか、積立額を少なくしても同じくらい貯まる」
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