老後2000万円問題はピンチかチャンスか(2/3 ページ)
老後資金が年金以外に2000万円必要という金融庁レポート。国民の間では「年金だけでは足りないなんて、いまさら言われなくても当然」といった覚めた意見や、「これを機に資産運用を始めなければ」という意見も。資産運用サービス各社は、ユーザーの関心が高まっているのを肌で感じている。
資産運用のシミュレータ
WealthNaviでは資産運用のシミュレータを用意しており、積立額などを設定すると、将来の資産運用結果を予想することができる。例えば、20代の人が毎月3万円ずつ積み立てると、30年後の積み立て総額は1090万円だが、68%の確率で資産は2000万円を超える。
毎月3万円の積み立てを30年間行った場合。中央の白い線が確率50%で期待できる結果だ。未来になるほど結果が広がっているが、40%の確率で濃い青の中に入ることを示す。また80%の確率で薄い青の中に収まる【訂正:2019/07/18 12:16 確率の記載が誤っておりました。お詫びし訂正させていただきます】
30代の人が20年間積み立てる場合を見てみよう。同じく1090万円を積み立てるには月間4万5000円が必要だ。一方で、20年後に2000万円を超える確率は45%に下がってしまう。
しかも、30年間の運用の場合、運用に失敗して積立額を下回ってしまう確率は10%以下だが、20年間の場合は元本割れの確率が高まってしまう。若い人のほうが、長期に渡って運用できるので、リスクが高い、つまりリターンの高い運用が可能になるということだ。
4万5000円を20年間積み立てると、総積立額は同じ1090万円だが目標の2000万円を超える確率は下がってしまう。この試算は、資産ごとの期待リターンと価格のブレを考慮して、モンテカルロシミュレーションで計算したものだという
一方で、単純にリターンを追求するのではなく、長期に継続するために、複数の資産を組み合わせることが重要だとも説く。ロボアドバイザーサービスでは、複数の資産を組み合わせて投資できる仕組みが特徴の一つだ。
「20年間株は伸びると信じて、その間の値動きは見ません、という人であればすべて株でもいいかもしれない。しかし、値動きにドキドキしてしまう人が、株が多いと、値動きを見ていられない。やめてしまうのが最悪のケース。運用はちゃんと長期に続けられることが大事。続けられないのであれば、そのリスクは取らないほうがいい」(牛山氏)
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