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老後2000万円問題はピンチかチャンスか(3/3 ページ)

老後資金が年金以外に2000万円必要という金融庁レポート。国民の間では「年金だけでは足りないなんて、いまさら言われなくても当然」といった覚めた意見や、「これを機に資産運用を始めなければ」という意見も。資産運用サービス各社は、ユーザーの関心が高まっているのを肌で感じている。

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資産運用の前に、支出額と年金額を確認する重要性

 老後に向けて豊かな生活をするなら、資産運用は大事なツールだ。WealthNaviやTHEOのようなロボアドバイザーを利用するのもよいし、自身で「VT」など世界の株式に分散投資するETFを購入してもいい。楽天投信投資顧問の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」や、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 全世界株式」などの投資信託も選択肢だ。

 ただし、2000万円という数字に過度に敏感になる必要はない。「2000万円という数字よりは、必要な金額は一人ひとり違いますよ、という点がいいたいところ」と牛山氏。

 金融庁のレポートは、持ち家を前提として、あくまで平均値で試算した結果、2000万円が必要だというものだ。1億総中流といわれ平均の数字で語りやすい時代から、格差も広がり、ひとりひとりの必要額は大きく違ってきている。

 自分の必要額を算出するために、重要なのが支出額の確認と、年金額の確認だ。6月にファイナンシャルアカデミーで行ったイベント「老後に2000万円は本当に必要か緊急会議」では、多くの参加者が老後の必要額を計算し、4割程度が2000万円より少ない、6割が2000万円より多いと回答していた。


6月末に行われたファイナンシャルアカデミー主催イベント「老後に2000万円は本当に必要か緊急会議」

 「同い年の友達を想像したとき、家計が同じかというとそんなはずはない」「金融庁のレポートでは、住居費が1万3000円。持ち家が前提だろうが、マンションなら管理費もかかる。住居費がもっとかかるんじゃないかという不安を感じた」といった声が出ていた。

 さらに老後資金を計算するときに重要なのが、公的年金の把握だ。公的年金では足りないとしても、生活費の多くを公的年金に頼るのが一般的。しかし、多くの人は自分がもらえる公的年金について把握していない


三井住友銀行の年金試算シミュレーションは、非常に簡易に年金額を試算できるツールだ。年齢や性別などを入れるだけで、簡易にもらえる年金が試算でき、さらに100歳まで資産がどう変化するかをグラフで確認できる。月35万円の老後生活費を見込むと、65歳時点で2000万円の金融資産があっても100歳時点にはほぼ底を尽く

 イベントには144人が参加し、会場は満席。老後2000万円問題は、多くの人に老後に向けた資産確保の意識を喚起したようだ。金融庁の当初の狙いどおり、少なくとも資産運用サービスを提供する各社にとってはチャンスとなってきている。

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