監修やコラボとは違う! スシロー幹部が力説した「匠の一皿プロジェクト」の本気度:背景に商品開発力の向上(1/2 ページ)
スシローが「匠の一皿プロジェクト」を始める。有名店の料理人に商品開発の初期段階からかかわってもらう。「監修」や「コラボ」とは違うその本気度とは?
回転寿司大手「スシロー」を運営するあきんどスシローは、名店の料理人とともに新メニューを開発する「匠の一皿プロジェクト」の概要を発表した。7月18日に開催された記者発表会では、スシローの幹部がその舞台裏を披露した。「スシローの商品開発の歴史をひらく」とまで力説した背景とは?
「監修」や「コラボ」とは違う
匠の一皿プロジェクトに参加する料理人は、中華料理店「中国菜エスサワダ」(大阪市)オーナーシェフの澤田州平氏、居酒屋料理を提供する「ブランカ」(京都市)の吉岡哲生氏、「神戸北野ホテル」(神戸市)総料理長でフレンチが専門の山口浩氏、和食料理店「賛否両論」(東京都渋谷区)店主の笠原将弘氏の4人だ。
7月19日からは澤田氏が考案した「赤海老とうにの紹興酒漬けにぎり」、「よだれ鶏にぎり」(ともに150円、税抜き、以下同)、「本格担々麺」(380円)を提供する。また、スイーツの分野では、吉岡氏が考案した「琉球パフェ」(300円)が登場する。山口氏と笠原氏の考案した商品は近日販売予定だ。スシローグローバルホールディングスの堀江陽商品本部長は、「常に匠の一皿(の商品)が3〜4個提供できるようにしたい」と語った。
スシローは、匠の一皿プロジェクトを「味にお墨付きをもらう『監修』や、メーカーの既存商品を使用した『コラボ』とは違う位置付けだ」と強調する。初期の商品開発の段階から有名料理人にしっかり関わってもらうという。
なぜ、スシローはこのプロジェクトに取り組むようになったのだろうか。堀江商品本部長は、「寿司以外の領域からエッセンスをもらうため」と説明する。
スシローはこれまで商品強化を目的とした数々の施策を行ってきた。例えば、「世界の海からいいネタ100円PROJECT」は、世界中からお客を満足させるネタを発掘し、安く提供するものだ。これまで、「濃厚うに包み」(100円)などを期間限定で販売してきた。また、日本全国の漁港で水揚げされた国産天然魚を、羽田市場の契約漁師らと提携し、国内の店舗に届けるプロジェクトにも取り組んできた。
ただ、同社の商品開発力をさらにブラッシュアップさせるには、これまでと違う視点が必要だと考えるようになった。そこで、有名料理人の知恵を借りることにした。ただ、スシローはチェーン店なので、全国の店舗で同じレベルの味を提供しなければならない。商品開発担当者の力量が、お客を満足させられる水準に達したことも、このプロジェクトの推進を後押ししたという。
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