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北朝鮮ツアーが謎のブーム!? “近くて遠い国”のインバウンド戦略を追う:気鋭の北朝鮮研究者が分析(4/4 ページ)
北朝鮮で今、外国人を呼び込む観光が盛ん。“近くて遠い国”のツアー内容とは? 気鋭の北朝鮮研究者が迫る。
観光は平壌が中心、「北朝鮮周遊」はほぼ無く……
今では YouTube を通じて北朝鮮に観光で訪れた人たちの映像を容易に見ることができるが、観光黎明期の様子は、88年9月の北朝鮮建国40周年を記念した100万人パレードの模様を収録したドキュメンタリー映画「金日成のパレード」(ポーランド映画、89年)を見れば、おおよそ把握できる。映画撮影陣に公開された場所と外国人観光客が案内される場所はほとんど同じだったからである。
西海閘門や後に開放された龍岡温泉程度しか目玉の観光地が無い南浦が通常の旅程にセットされる割合は減り、近年は平壌と開城・板門店の組み合わせが基本コースとなっている。
北朝鮮観光の主流が平壌を起点とする点と点を結ぶコースであり、欧州、米国旅行などで見られる「周遊」がほとんど存在しないのには、入国した外国人の管理を徹底するためという側面もあろうが、主要な地方都市との高速道路(「観光道路」と呼ばれる)が平壌を起点として整備されていること、さらに平壌からの国内便が空港、(白頭山)空港、(元山)空港など一部に限定されている、という交通事情があるだろう。
2018年夏期を例にとれば、平壌から漁郎、三池淵へ週2便、葛麻まで週1便だけ定期便が出ていた。国内定期便はそれだけであるし、鉄道インフラは劣悪で、中朝国境の新義州から平壌の間を除き、鉄道を目玉としたツアーを除いては移動手段として鉄路を利用した手配はあまり行われていない。
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