無人コンビニで、どんなモノが売れたのか 1年を振り返る:水曜インタビュー劇場(600公演)(6/6 ページ)
無人コンビニ「600」が、都内のオフィスでじわじわ増えている。キャッシュレスで商品を購入することができるわけだが、どんなモノが売れているのか。運営会社の社長に、自販機を設置して分かったことを聞いたところ……。
コンシェルジュになりたい
土肥: 無人コンビニの話を聞いていて、気になることがひとつ。大手コンビニでもパンやジュースなどを扱う自販機を展開していますが、そのサービスとどのような違いがあるのでしょうか?
久保: 品ぞろえの豊富さと、カスタマイズ性の高さにあるのかなあと思っています。品ぞろえでいえば、週2回ほど訪問していて、1回につき60〜100アイテム置いています。夏の時期でいえば、冷たいジュースがよく売れているのですが、汗拭きシートなども売れている。
ちなみに、この1年で、どのくらいの商品を扱ってきたのか。3000アイテムを超えているんですよね。一般的な自販機の場合、夏と冬に品ぞろえを変えるくらい。コンビニ自販機の場合、食べ物や飲料をよく目にしますが、毎回のように商品が変わることはないですよね。
カスタマイズ性の高さについては、利用されている方から商品を発注できる仕組みを導入しました。「マスカットが欲しい」という声があったので、ひとふさ2700円の商品を置きました。ちょっと高価な商品なので、どんなシーンで食べているのか気になったので調査したところ、そのマスカットにはたくさんの粒がついているので、同僚と一緒に食べたそうです。
土肥: 「マスカットが欲しい」とリクエストしながら、実際には買わない人もいるのでは? 「見た目がイマイチだから」とか「ちょっとお腹が痛くなったから」といった理由で。
久保: リクエスト後に気分が変わって、「やっぱり、その商品はいらないなあ」という人もいると思うんです。実際に、います。ただ、購入しなくても、当社としてはそのことを問題視することなく受け止めています。そうした情報も大切だと思っているので。
あと、気軽にリクエストしてもらえることも、大事だと思っているんですよね。というわけで、リクエスト後に気分が変わっても、全く問題にしていません。
土肥: 大人の対応ですね。
久保: 当社はどんな存在になりたいのか。コンシェルジュなんです。コンシェルジュとして使い倒していただくために、どうすればいいのか。リクエストのハードルをどんどん下げて、あれもこれもといった感じで、いろんなことを言いやすい環境をつくっていきたいですね。
(終わり)
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