ふくおかFGが2020年度にネット銀行設立へ 生き残りの一手:デジタルネイティブバンクって何?
ふくおかフィナンシャルグループがネット銀行設立を目指す。全国地銀では初の取り組み。「デジタルネイティブバンク」を標榜し、新しい銀行の形を目指す。
福岡銀行などを傘下に持つふくおかフィナンシャルグループ(福岡市)は8月7日、ネット専業銀行となる新銀行「みんなの銀行」の開業に向け、「みんなの銀行設立準備株式会社」を設立すると発表した。ネット専業銀行への参入は全国地銀でも珍しく、2020年度中の新銀行設立を目指す。
新銀行は「デジタルネイティブバンク」を標榜する。担当者によると、「昨今は『デジタルネイティブ世代』など、小さい頃からインターネットに親しんでいる層が増えている。それに合わせて顧客行動も大きく変容しており、従来とは違う銀行のスタイルをゼロベースで考える必要性を強く感じていた」という。構想は2017年頃からあったが、電子決済の普及などを踏まえ、今回の参入に踏み切った。
新銀行では、多様化する銀行の役割を棚卸し。業務面では「預金」「為替」「貸付(融資)」の3つに注目。機能面では「金融仲介」「決済」「信用創造」の3つに注目した。
システム面では、5月に設立した子会社のゼロバンク・デザインファクトリー(福岡市)にて研究開発を進めている「次世代バンキングシステム」を活用する。詳しいシステムやサービスについては開発中とのこと。
ネット専業銀行では、セブン銀行やイオン銀行、ローソン銀行など地域のインフラとして定着している企業が先行している。各地銀は統廃合が進むだけでなく、約6割が2028年度には赤字になるという日銀の試算もあり、厳しい状況に置かれている。新銀行の設立で、ネットに慣れた若年層を開拓できるか。
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