「経営陣の交代・奪還劇」が招いた倒産 “反社”関与もささやかれたエステ企業の粉飾決算:あなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る(5)(4/4 ページ)
成功には決まったパターンが存在しないが、失敗には『公式』がある。どこにでもある普通の企業はなぜ倒産への道をたどったのだろうか。存続と倒産の分岐点になる「些細な出来事=前兆」にスポットを当て、「企業存続のための教訓」を探る。
競争激化のエステ業界 「地位争い」は自殺行為
各所への支払いが滞り続け約半年の月日が流れたころ、一部の債権者が痺(しび)れを切らし法的措置に出る。これにより本社機能の継続が困難となり、10月に事務所を閉鎖、11月24日付で自己破産を申請、12月2日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。この一連の流れのなかで、前述のような粉飾決算の事実も明らかになったというわけである。
近年、消費者がエステサロンに通うことが一般的になる一方で、業界間の競争が激しく事業継続の難しさがささやかれている。こうした業界環境を象徴するような倒産となった。
「乗っ取り」とまでいわれた経営権の移譲から、新経営陣と旧経営陣の争いが巻き起こったビューティ・ソリューションズ。業績の悪化がそもそもの発端とはいえ、そんな状況では取引先や金融機関からの信用を失い、早々に立ち行かなくなることは自明の理だ。
どのような状況でも地位争いに明け暮れ、事業をおざなりした企業が、復活することはあり得ないといっていいだろう。
著者プロフィール
帝国データバンク 情報部
1900年創業の民間信用調査会社。国内最大の企業情報データベースを保有。帝国データバンク情報部は、中小企業の倒産が相次いだ1964年、大蔵省銀行局からの倒産情報提供に応じるかたちで創設。情報誌「帝国ニュース」の発行、「全国企業倒産集計」などを発表している。 主著に『なぜ倒産』(日経BP社)『御社の寿命』(中央公論新社)『あの会社はこうして潰れた』(日経BP社)などがある。
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