総距離1000キロ以上! 今後20年の鉄道開業計画を俯瞰する:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/7 ページ)
リニア中央新幹線は静岡工区問題で2027年の開業予定が揺らぎつつある。北海道新幹線や長崎新幹線の開業計画も進行中だ。北陸新幹線の敦賀延伸も間近に迫っている。現在進行中の鉄道路線計画を年度別に俯瞰してみると、鉄道建設の全体像が見えるかもしれない。
Osaka Metroは中央線をコスモスクエア駅から夢洲まで延伸する。夢洲は大阪湾の人工島で、25年の大阪万国博覧会の開催地に決定した。もとより延伸計画があり、現在の道路用海底トンネルには鉄道用地も確保されている。中央線は近畿日本鉄道けいはんな線と相互直通運転している。近鉄は、けいはんな線と奈良線の線路を生駒駅で接続し、近鉄奈良〜夢洲間の直通特急を検討している。
茨城県ひたちなか市は、ひたちなか海浜鉄道を終点の阿字ヶ浦から延長し、国営ひたち海浜公園まで延伸する計画だ。国営ひたち海浜公園は春のネモフィラ、秋のコキアの景観で知られるほか、ROCK IN JAPAN FESTIVALの会場になっているため、開花シーズンやイベント時にマイカーが大渋滞を起こす。その混雑の解消のため、ひたちなか海浜鉄道ルートを整備する。ひたちなか海浜鉄道としても、阿字ヶ浦からのシャトルバスが好調という結果から収益向上に期待している。
2025年度
新規開業・延伸開業予定はない。
2026年度
熊本市電が延伸を計画している。健軍町電停から新市民病院付近までの1.5キロ。現在は予算執行が凍結されている。しかし、6月24日に熊本市がWebサイトで呼びかけた市民アンケートで、1401件の回答があり、83%の市民が進めるべきと回答したという。
2027年度
JR東海が建設しているリニア中央新幹線の品川〜名古屋間が開業予定。ただし、静岡工区の未着工問題が影響しそうだ。
広島市の新交通システム「アストラムライン」はもともと環状路線の計画だった。このうち、現在の終点の広域公園前から石内東までの開業目標が「令和ヒトケタ年度」となっている。27年度は令和9年度にあたり、この年度までには開通する見込み。
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