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400万円オーバーのBセグメント DS3クロスバック池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)

一般に高級ブランドというものは、長い歴史があり、ブランド論がとやかく言われる前から「高級品」として世の中にイメージが共有されているものである。DSは2010年代という、技術もマーケティングも高度に発達した時代にこれに挑もうとしている。そこは大変興味深い。DS3クロスバックがこれにどう挑むのか。

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派手な見た目と落ち着いた走り

 さて、DS3クロスバックがこれにどう挑むのかお楽しみというわけだが、まずはメカニズム構成から見ていこう。


リヤのデザインだけはスッキリ系。水平基調と薄いテールランプがそう見せている

 DS3クロスバックは、PSAの上下2種類あるプラットフォームの内、小さい方のCMP(コンパクト・モジュラー・プラットフォーム)シャシーを用いる。構成としてはフロントはストラットで、リヤがトーションビーム。パワートレインは1.2リッター、3気筒DOHCターボにアイシン製のトルコンステップ8段AT、EAT8を組み合わせる。プジョーとシトロエンのエントリークラスと共通だ。こういうありきたりな素材をして、どうやって高級車に仕立てるかがDSブランドの腕の見せ所である。

 これはDSブランドの全てに当てはまることだが、一番の売りはその「傾いた(かぶいた)デザイン」である。ハードウェア構成に規定された枠の中でどれだけ個性を持たせ、目の肥えた客に選ばせることができるかは、ひとえにこのデザインにかかっている。

 圧倒的にほかと違い。個性的で上質に見えることは何が何でも必要で、だからこそ「品が良いデザイン」などとはいっていられない。嫌味になる直前まで手数を増やし、何なら過半の人に嫌われても構わないので、特定の顧客のハートを射抜くことを目的としている。ちょうどジャガーが大げさに英国らしいデザインを訴求して見せたように、DSはフランス、いやもっといえば「パリ流」を強く演出し、そしておそらくそれは成功しているように思われる。


腕時計のベルトをイメージしたシートの造形

 「思われる」と曖昧に書いたのは、日頃からブランド品をまとい、強烈な個性を重んじるような消費者層の気持ちを、筆者は掌を指すようには理解し得ないので、あくまでも類推に過ぎないからだ。デザインに関しては少なくともコンセプトと裏腹な変なことにはなっていないと思う。

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