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Dセグメント興亡史:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)
Dセグメントはかつて日本の社会制度の恩恵を受けて成長し、制度改革によって衰亡していった。その歴史を振り返る。
Dセグメントは日本の社会制度の恩恵を受けて成長し、制度改革によって衰亡していった。自動車という工業製品がその製品としての優劣だけでなく、社会の流れの中に存在していることがよく分かる1つのサンプルとして、今回はDセグの興亡史を眺めてみたい。
かつてのDセグメントの代表と言えば、トヨタ・コロナ、日産ブルーバード、ホンダ・アコードあたりだろう。Dセグはその昔、国内で大きな割合を占めたファミリーカーのメインストリームだったが、ここ十年ばかりすっかり振るわない。絶滅危惧種に近い存在になっている。
二大巨頭として覇を競ったコロナとブルーバードも、20世紀の終わりごろにほぼ足並みを揃えて名前が消えている。コロナは国内向けのプレミオと欧州向けのアベンシスに分かれ、ブルーバードはサニーの兄弟車であるブルーバード・シルフィに名前を譲って格下のCセグに移行した。
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