サグラダファミリアは3000円、日本のお寺は400円 日本は安い旅行先なのか?(2/4 ページ)
訪日外国人という”量”は増えているが、来日で支払った額は必ずしも増えていない。安い国ではなく、価値ある国になるためには、適切な価格設定によって売り上げ増を果たすことが重要だ。ホテル向けにAIを使って最適な料金設定を提示する空と、レベニューシェアで観光地向けのオーディオガイドを製作するON THE TRIPの例から。
サグラダファミリアは3000円。でも日本のお寺は400円
日本の観光資産として重要な、お寺などの入場料は、適切な価格設定がされておらず、機会損失となっている。
「安いという認識がない。サグラダファミリアは入場料が3000円以上だが、日本のお寺は400円、500円。日本は量を求める方向に舵(かじ)を切っているが、マネタイズができていない」(成瀬氏)
同社は、美術館の入り口にあるようなオーディオガイドを製作し、スマホにダウンロードして利用できる仕組みを提供している。新たなビジネスモデルとして取り組んでいるのが、無料でオーディオガイドを製作し、利用者にも無料で提供するモデルだ。その分、入館料を値上げし、値上げ分を施設側とシェアする。
小豆島にある妖怪美術館では、同社がオーディオガイドを製作。それに伴って美術館の導線を再設計し、ブランドロゴの変更などCI(コーポレートアイデンティティ)も手掛けた。これまで2000円だった入館料を2900円に値上げ。入館者数は3倍以上に増加し、売り上げは11倍以上に増加したという。
「入館料がなぜこの価格なのか? と聞くと、もう20年この金額でやっているという言う。ロジックがなく、横並び意識が高い」と成瀬氏は、観光施設の価格設定の現状を話す。
適切な価格設定をすることで売り上げを増やすことが、質の向上にもつながる。「売り上げが小さいと設備投資ができず、質が下がってしまう。関西のお寺では、去年の台風でけっこう屋根が飛んでしまっている。でも直すのに数億円規模の費用がかかる。お金がかけられないので、そのままになっていたりする」(成瀬氏)
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