なぜ「BMW」は叩かれるのか “自己チュードライバー”のアイコンになる日:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
あおり運転をしている「BMW」の映像が、何度も流れている。“暴走カップル”がようやく逮捕されたわけだが、気になることがある。それは「BMW=ネガティブ」なイメージにならないかである。「そんなことはないでしょ」と思われたかもしれないが、実は……。
騒動の行方に注目
これは宮崎容疑者にもまんま当てはまるのではないか。BMW X5を乗り回して、歯向かってこなさそうな相手をゴリゴリにあおり倒す。オレ様は強い。オレ様の邪魔をする奴は許せねえ。そんな男っぽさ全開で大暴れしていく中で、アゲアゲになったテストステロンが「暴発」したのが、あの”あおり暴行”だったのではないか。
そうとでも考えないと、まともな40男が、「お前はオレの邪魔をした。ぶっ殺してやるから出てこい」なんて、『北斗の拳』や『マッドマックス』に登場するザコキャラのようなセリフを吐くわけがないのである。
もちろん、このテストステロンは、マウスの動物なんかに投与すると分かりやすく凶暴になるが、人間の凶暴性にどこまで影響を与えるのかということはまだ明らかになっていない。
ただ、英米、そして日本で一部のBMWドライバーたちが「自分勝手」「迷惑」「乱暴」と指摘されているのは紛れもない事実である。高級スポーツカーならではの虚栄心、自尊心が「テストステロンの上昇」を引き起こしている可能性も否めないのではないか。
高齢者の踏み間違い事故が多発した際に『なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日』という記事でも述べたように、大きな事故によって、世に多く走っているクルマのブランドイメージに影を落とすケースは少なくない。
今回の騒動によって、日本でも英国や米国の「BMW乗り=自己チュードライバー」というネガイメージが広まってしまうのか、注目したい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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