コインチェックは8月22日、ユーティリティ・トークンの発行による資金調達を支援する事業の検討を開始すると発表した。問い合わせフォームを設けており、企業やプロジェクトからの連絡を受け付ける。
同社では、既にコンテンツを保有していて、ファンコミュニティと一緒に事業を成長させたい方、トークンを活用してコミュニティを拡大させたい方、事業単位での資金調達を希望シている方などを、対象として想定している。
分類され整ってきたICO
仮想通貨の盛り上がりとともに普及してきたのが、企業などが、トークン(仮想通貨)を発行して販売し資金調達を行う、いわゆるICO(Initial Coin Offering)だ。世界中から資金を集められる、少額の資金提供も可能で、調達に関わるコストが低いなどの特徴があるが、企業やプロジェクトを審査する仕組みが整っておらず、実際のないICOなどが問題となってきた。
今回コインチェックが支援する仕組みは、IEO(Initial Exchange Offering)と呼ばれる。発行体と資金提供者の間に仮想通貨取引所が入り、発行体の審査などを行うことで、信頼性を担保する手法といわれている。
現在ICOは、扱うトークンの種類によって2種類に分かれている。株式のように配当や権利を得られる有価証券をトークン化したものはセキュリティトークンといい、それを使った資金調達はSTO(収益分配型ICO)と呼ばれる。国内の法律だと金融商品取引法の適用対象だ。
一方で、サービスの対価として使われるようなトークンはユーティリティトークンと呼ばれる。今回コインチェックが対象とするのは、ユーティリティトークンを用いた資金調達(決済型ICO)に限られる。
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