働き方改革の旗手、白河桃子と沢渡あまねが対談! ――会社を滅ぼす「仕事ごっこ」をやめる方法:“昭和の常識”が会社を滅ぼす(3/4 ページ)
働き方改革が国策になって久しい中、なぜ、日本の働き方はいつまでたっても変わらないのか――。本質的な改革とは程遠い「仕事ごっこ」がはびこる日本企業の現状と、令和の時代にふさわしくアップデートする方法について“働き方改革の旗手”の二人に大いに語ってもらった。
どうすれば、脱「仕事ごっこ」できるのか
白河: 会社の中の「仕事ごっこ」をやめるには、どこから手をつけていけばいいでしょう?
沢渡: まずはトップからですね。これはビジネスモデル改革ですから、「会社を変えるぞ! 今までの常識に反することを良しとするぞ!」というメッセージを出すことが何より大事です。これがないと、現場が空回りしてしまいます。とはいえ、トップが騒いでいるだけでは始まらず、同時多発的に、管理職や各部門のレベルでそれぞれやるべきことを議論していく必要があります。トップが頑張るべきところもあれば、各現場、人事、総務、調達部門、情報システム部、広報……それぞれにやるべきことがあるはずです。
白河: 広義の働き方改革ですよね。残業削減だけを「狭義の働き方改革」と捉えるのではなくて、ビジネスモデルとか人事制度とか、経営トップは全てのものを変える覚悟を持たなければいけない。
沢渡: そうなんです。この1年くらい、どの講演でも見せている図があるので、ちょっと説明させてください。
白河: はい、ぜひ。
沢渡: この図の一番上は「ブランディング」。会社、あるいは部門単位でも良いですが、まずはその組織が「何で価値を出して勝っていくのか」ということを決める必要があります。これはトップが考えて発信していかなければなりません。それが、社内外のファンを生み出すことにつながります。社外のファンというのは、お客さまや株主かもしれないし、未来の従業員かもしれません。
白河: まずは出したい価値、自分たちは何のために働くのかという目的をはっきりさせるわけですね。
沢渡: そうです。一方、その下の円で囲んだところは課長以下のリアリティーで回して欲しい世界です。現場の人たちのモチベーションや生産性は、それぞれが属しているチームに依存しますから。課やチーム単位で、まずは業務を改善する。「仕事ごっこ」になってしまっている部分を特定してやめることを決めたり、対話の時間を作って日々の業務の意味を確認したりして、足りないスキルがあれば育成・学習することも必要です。
そうやって効率化した先に、生み出された時間で何をするのか――。例えば「機械学習でマーケティングの精度を上げていきましょう」といった「本来価値創出」の仕方を考えていくんです。そのために時間とお金を投資したり、育成したりしていく。これは「働き方改革しろ」といわれてやることではなく、本来の業務そのものですよね。これをうまく回していくために、外の風を入れてドライブさせる――これがダイバーシティです。
このサイクルがうまくいくと、働く人たちの成長実感も高まり、仕事に対する誇りや会社に対するエンゲージメントも高まります。そうなると、口コミで会社の良さが伝わり、採用もしやすくなるはずです。
白河: 全体がつながっているということですよね。私もいつもそのようにお話しています。
沢渡: このサイクルを回すのが働き方改革で、このストーリーの中で、部署間のコミュニケーションもしてほしいですね。例えばコラボレーションが生まれやすいシステムにしたいと思ったら情シス部門に相談するとか。「うちの情シスは使えない」って文句を言うんじゃなくて「情シスにもっと予算まわしてよ」と社長に言うなどして、社内世論を高めていってほしいんです。
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